土地・建物など不動産の相続について、家族と話し合ったことはありますか。このたび、不動産の所有者であることを法務局に申請し、公に示す手続き「不動産登記」制度の見直しが行われ、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されることになりました。
これまでの制度では、不動産の所有者が変わっても登記上の名義を変更するかどうかは個人の自由とされていました。ところが、来年4月からは、相続によって不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請を行わなければならないことになります。正当な理由がないにもかかわらず申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科されることもあります。
今回制度見直しについて、神戸地方法務局の表示登記専門官の中野晃孝さんは、出演したラジオ番組でその目的を「所有者不明土地を減らすこと」と説明しました。
「所有者不明土地」とは、所有者が分からない土地や、所有者が判明してもその所在が判然とせず連絡がつかない土地を指します。全国には、九州(離島を除く)と同じくらいの面積の所有者不明土地が存在するといわれ、さまざまな問題を引き起こす可能性が指摘されています。中野さんは、「例えば、放置された土地が周辺地域に悪影響を及ぼしたり、自然災害等が起こった場合の災害復旧作業が円滑に進まず、土地の有効活用ができなかったりすることが考えられます」と話しました。
不動産の相続は身近な出来事です。厚生労働省の統計によると、2022年に約150万人の人が亡くなったなか、約130万件の相続登記が法務局に申請されました。つまり、亡くなった人の約8割が不動産を所有していたと考えられます。決して他人事とは言えません。
神戸地方法務局の統括登記官の前田智恵さんは「年末年始で親族の皆さんが集まる機会も多いと思います。その際、不動産の名義人や、もしその方が亡くなった場合には相続登記の申請手続きが必要なことを確認していただくと良いでしょう」と呼びかけ、聞きづらい話とは考えずに、家族や親族が今後も円満な関係を築いていくための話し合いが大切であることを伝えました。
相続登記申請の義務化や相続登記の申請方法については、法務省のホームページにも掲載されているとのことです。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2023年12月26日放送回より