昨年(2023年)5月の能登沖地震での珠洲市と同様、調査は迅速に行われた。大きな揺れが起きた後、危険な状態の家屋に戻った時、余震が起きるとその家屋は倒壊し、閉じ込められたり死亡したりする可能性が高いため、スピードが重要になる。
■ボランティア、状況を見ながら…
現地調査中、金融機関の前に停車する横浜ナンバーのトラックを見かけた。複数の男性がトラックから降りて飲料水を銀行に運び込んでいる。近隣一帯が断水したため、横浜の別の銀行から送られた飲料水を一軒一軒配るという。
阪神・淡路大震災以降、災害時のボランティア活動が定着した。私自身、阪神・淡路大震災直後に兵庫県西宮市の避難所を訪れ、ボランティア活動に従事したことを思い返すと、被災された方々は心身ともに疲れ切っており、自力で立ち上がることは極めて難しいことを実感した。
ボランティアや行政機関などのサポートなくして心と街並みの復興はない。
今回は発生1週間とまだ日が浅く、道路が寸断されるなどしており移動もままならないため、ボランティアの受け入れ態勢が整っていないが、これから息の長い支援が必要だ。
被災地の石川県輪島市や珠洲市などでは自衛隊や警察、消防などによる懸命な人命救助や復旧作業が続く。
■阪神・淡路大震災を上回るエネルギー
この地震の規模を示すマグニチュードは7.6(暫定値)とされる。1995年の阪神・淡路大震災のマグニチュードは7.3(気象庁マグニチュード)だった。
マグニチュードが0.2増えると、エネルギーは約2倍になる。1増えると約32倍大きくなり、2増えると1000倍以上になる。
これを基にすると、能登地震の規模は阪神・淡路大震災の2倍以上という計算になる。震源の深さは能登が約16㎞、阪神・淡路が約14㎞とほぼ同じなので、地質条件が異なるかも知れないが、あくまでも現時点の状況を鑑みれば、数字上では阪神・淡路大震災のエネルギーを上回ることになる。
地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にはお見舞い申し上げ、一日も早い被災地の復興を願う。そして、こうした災害時の「減災」のあり方を今一度考えたい。
■政府、「激甚災害」指定へ
岸田文雄首相は8日、能登半島地震の激甚災害指定をめぐり、地域を限定しない「激甚災害(本激)」の指定に向け、閣議決定へ手続きを進めるよう指示した。週内にも閣議決定する見込み。
激甚災害には地域を限定せず災害そのものを指定する激甚災害(本激)と、市町村単位で指定する局地激甚災害(局激)の2種類がある。