赤穂市の牟礼正稔(むれい・まさとし)市長が、このほどラジオ関西の生番組に出演し、「赤穂義士をはじめ、塩や北前船の寄港地、赤穂緞通(あこうだんつう)、地域商標登録されたばかりの『坂越(さこし)かき』など、歴史と文化、自然豊かなまち」と、市の魅力について語った。
赤穂市は、兵庫県の西南端に位置する、人口約4万5000人(2023〈令和5〉年11月末時点)のまち。西は岡山県と隣接、南は播磨灘に面し、海岸線は瀬戸内海国立公園の一角を占める。市の中央部には千種(ちくさ)川が流れ、下流域に形成されたデルタ(三角州)に市街地が広がる。臨海は播磨臨海工業地帯の一角を担っている。神戸からJRの新快速で1時間15分、車で1時間半の距離にあり、温暖で雨量が少ない、瀬戸内型気候の穏やかなまちだ。
赤穂市は忠臣蔵のふるさと。赤穂義士ゆかりの城「赤穂城跡」は名城百選にも選ばれ、国の史跡でもある。討ち入りの日の12月14日には、毎年「赤穂義士祭」が賑やかに行われる。また、江戸時代に製法が確立された「塩」と、坂越(さこし)地域に数多くの歴史文化遺産が残されている「北前船の寄港地」は、日本遺産に認定。さらに、名水百選に選ばれた「千種川」は、美味しい飲み水としてだけでなく、ミネラル豊かな栄養分を播磨灘に運ぶため、他地域では3年がかりで養殖される牡蠣が1年で育つ。
さらに、2016(平成28)年に産業技術総合研究所が「赤穂コールドロン」を発見、発表した。播州赤穂地域の地質調査で、8300万年前の後期白亜紀に大量の火砕流を噴出した火山活動が複数回あり、その際にできたカルデラ(コールドロン)を埋めるように火砕流堆積物が分布していることが明らかになった。現在は侵食によりカルデラ地形は失われている。牟礼市長は「カルデラの大きさは、熊本の阿蘇山に匹敵すると言われている」と紹介した。
赤穂市が抱える課題は「他の自治体と同じで、人口減少、少子高齢化」。牟礼市長は「赤穂義士や2つの日本遺産、コールドロンなどの豊かな自然。そういう資源を、観光地域づくり法人(DMO)である『一般社団法人あこう魅力発信基地』と連携して広く国内外に発信し、観光振興、地域活性化、移住定住に取り組んでいる」と話した。移住定住に関しては、市内2つ目となる「有年(うね)お試し暮らし住宅」が開設された。1週間7,500円という低価格で宿泊でき、生活の実体験ができる制度で、「これまでにもお試し暮らしを体験して、赤穂に移住した方がたくさんいる」と、手応えを語った。
赤穂の冬の味覚を代表するのが牡蠣。2023(令和5)年9月に「坂越かき」が特許庁の地域商標登録に認定された。赤穂市のふるさと納税返礼品で一番人気の牡蠣だが、これまでは名称が様々であったことから、統一してブランド化。牟礼市長は「3年越しで地域商標登録認定が実現した。兵庫県で初、全国で6例目。これから漁業協同組合などと連携してPRし、産業振興につなげていきたい」と胸を張った。