阪神・淡路大震災で即時復旧の『LPガス』 大規模災害時の活用見据え、給食調理などで常時使用目指す | ラジトピ ラジオ関西トピックス

阪神・淡路大震災で即時復旧の『LPガス』 大規模災害時の活用見据え、給食調理などで常時使用目指す

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 ライフラインの中で、環境に優しく災害に強いエネルギーとして今改めて注目を浴びているのが「LPガス」。家庭ごとに設置する“セパレート式”で、被災からの復旧が早いことがその理由です。兵庫・神戸と大阪の間に位置する阪神地域では、1995年の阪神・淡路大震災でその存在が見直されました。同地域では非常時を見据え、平常時からのLPガス利用が促進されています。

 兵庫県LPガス協会・阪神支部長の金澤嘉彦さんによると、8つの会社から成る阪神支部は西宮市と尼崎市を管轄しており、猪名川町、伊丹市、川西市、宝塚市を管轄する北摂支部とともに活動を行うこともあるのだそう。他と比べると、LPガス使用世帯の割合はそれほど高くないエリアだといいます。

 そのような中で、29年前の1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災はLPガスの必要性が再認識された場面でもありました。当時、甲南大学の学生だった金澤さん。自宅ではLPガスを使用していたことから、「災害直後も問題なくガスを使えた」と振り返りました。

 発災直後、同協会のスタッフは連日にわたってガスの復旧作業にあたっていたそうです。尼崎市・西宮市・伊丹市だけで8000戸近くが建てられていた仮設住宅では、全戸にLPガスが導入されており、「少しでも温かいお湯が使えるように」との思いから、泊まり込みで設置工事に取り組んだスタッフも少なくありませんでした。

阪神・淡路大震災当時、仮設住宅で復旧に努めるスタッフの様子(提供:兵庫県LPガス協会)
阪神・淡路大震災当時、仮設住宅で復旧に努めるスタッフの様子(提供:兵庫県LPガス協会)
阪神・淡路大震災当時、仮設住宅で復旧に努めるスタッフの様子(提供:兵庫県LPガス協会)
阪神・淡路大震災当時、仮設住宅で復旧に努めるスタッフの様子(提供:兵庫県LPガス協会)

 以降も、今年元日に発生した能登半島地震も含めさまざな災害に見舞われている日本列島。2018年6月の大阪府北部地震や同年9月の台風21号では、停電の長期化が発生。同協会阪神支部尼崎支店では、非常用発電の準備があったため、無事にガスを供給することができたといいます。

 現在伊丹市では、給食センターでの調理用エネルギーや空調用のエネルギーとして、平時・災害時ともにLPガスを採用。尼崎市も、給食センターに災害時のエネルギーとしてLPガスを取り入れています。

伊丹給食センター(提供:兵庫県LPガス協会)
伊丹給食センター(提供:兵庫県LPガス協会)
調理用エネルギーにLPガスを採用(提供:兵庫県LPガス協会)
調理用エネルギーにLPガスを採用(提供:兵庫県LPガス協会)

 さらに尼崎市は「移動式煮炊き釜」(1回で300食調理可能)を学校給食センターに1台備え、災害時にはLPガスを使って避難者に温かい食事を提供できるよう準備しています。

 例年、給食のない夏休み期間に炊き出し訓練が開催され、金澤さんら阪神支部の指導のもと、職員がいざという時の使い方を確認します。また、地域に住む人たちは、防災備蓄などについて学び、災害用の釜を用いた炊飯を見学。炊きあがったごはんを試食するのが定例となっています。

尼崎市給食センター(提供:兵庫県LPガス協会)
尼崎市給食センター(提供:兵庫県LPガス協会)
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