「スイミー」「ごんぎつね」「スーホの白い馬」…国語の教科書の定番作品 出版社に裏側を聞いてみた | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「スイミー」「ごんぎつね」「スーホの白い馬」…国語の教科書の定番作品 出版社に裏側を聞いてみた

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『スイミー』『ごんぎつね』『スーホの白い馬』……。これらの題名を聞くと、思わず「懐かしい!」と声が出てしまう人も多いのではないでしょうか。いずれも国語の教科書に掲載されている作品ですが、定番の物語として思い浮かぶのは世代ごとにさまざま。最近では、生まれ年を入力するだけで自分が使っていた教科書とその内容が分かる「教科書クロニクル」というサイトもあります。

 そんな国語の教科書の歴史について、半世紀以上にわたって日本の国語の教科書を作り続け、「教科書クロニクル」も手がけている光村図書出版株式会社・広報部の木塚さんに話を聞きました。

歴代の国語の教科書(画像提供:光村図書出版)
歴代の国語の教科書(画像提供:光村図書出版)

―――いつから国語の教科書を作っている?

【木塚さん】 教科書が一般の出版社によって作られるようになったのは、戦後のことです。それまでは、国が編集・発行した「国定教科書」が使用されていました。

弊社では、出版社が教科書を作れるようになった1949年当初から70年以上にわたって作り続けています。当初、小学校の国語の教科書を作る出版社は10社以上ありましたが、子どもの減少などによって今では4社のみとなりました。

―――内容はどのように変化してきた?

【木塚さん】 基本的に、教科書は4年ごとに改訂を行います。つまり、これまでに20回以上の改訂を重ねてきたことになります。もちろん、内容は時代背景などに応じて変化してきましたが、“物語”としては変わらずに長く掲載され続けているものも多くあります。

たとえば、『くじらぐも』『やまなし』『ごんぎつね』『スーホの白い馬』などは、50年以上掲載され続けています。親子3世代で同じ物語を学んでいた、ということも珍しくありません。教科書の定番としてよく名前が挙がる『スイミー』も、40年以上掲載されている作品です。

ほかに、“物語”そのものは変えずに“解釈”が変わるというパターンもあります。『走れメロス』を例に挙げると、昔は主題を捉えさせる課題が中心だったのに対して、現在は、思考の多様性を育むために「メロスの行動に共感できたところ、できなかったところ」を自分なりに考えさせる課題もあります。

一方、説明文は科学の話なども多いため、時代ごとに最新のものが掲載されます。高度経済成長期にあたる1960~70年代には、ダムや高速道路の建設の話が掲載されていましたが、令和となった現在は固有種の保護や伝統工芸をテーマとした話が掲載されています。

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