奈良県の北部に位置する大和郡山市。『金魚のまち』として知られていますが、「大和丸なす」をはじめとする農産物にも力を入れています。そのなかで、近年、盛んになっているのが、いちじくの栽培・生産です。その理由や、大和郡山産いちじくの特長、加工品の魅力などについて、大和郡山市農業水産課農業・金魚係の係長、井原茂樹さんにお話を聞きました。
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――農業・金魚係長とは、どのようなお仕事をされているのですか?
【井原さん】 まず、「農業・金魚係」というのがすごく珍しい係の名前かなと思います。おそらく(全国でほかに)ないかと思いますが、農業振興にかかわるところと、金魚産業の振興にかかわるところのお仕事をさせていただいています。
――大和郡山市では「大和丸なす」が一番印象的ですが、ほかにどんな農業が盛んですか?
【井原さん】 大和丸なすが有名ですが、それ以外にも大和郡山市にはたくさんの農産物があります。「治道(はるみち)トマト」やイチゴ、近年ではいちじくの栽培がかなり盛んになっています。
――いちじくの生産量はどれくらいありますか?
【井原さん】 奈良県は全国第7位の生産量となっており、そのうちの9割程度が大和郡山市で生産されています。
――いちじくがどうして大和郡山市で盛んに栽培されているのですか?
【井原さん】 いちじくはもともと日持ちのしない果物。大消費地の大阪に近いこと、(大阪との)交通の便もいいことが、1つ、背景としてあると思われます。いちじくの生産が盛んな場所の1つに、池之内という地区(町)がありますが、そこは以前、養鶏が盛んでした。いちじくは有機肥料を好む作物で、養鶏場で出た鶏糞を肥料として使えたこともあり、そこを中心にいちじく栽培が定着していったことがあるようです。
――いちじくそのものもおいしいが、加工品も作られているのですか?
【井原さん】 はい。いちじくを使った加工品としては、「いちじくワイン」や「いちじくソース」を作っています。
ワインは大和郡山産のいちじくを100パーセント使っており、いちじくの香りを十分に引き出し、さわやかな口あたりになっていますので、ぜひともご賞味いただければと思います。(スパークリングワインは)キンと冷やしていただければより一層おいしくなると思いますので、食前酒として召し上がっていただければ。
ソースは、スパイシーさの裏にいちじくの甘さが隠れているような味わいになっているかなと思います。やきそば、お好み焼き、揚げ物をはじめ、何にでもあう万能ソースとして作らせてもらっていますが、スパイシーなところが特長なソースなので、個人的にはやきそばや串カツなどがよくあうのかなと思っています。昨年売り出したところ、すぐに完売になってしまいました。今回は前回よりも生産量を増大し、1月下旬から販売を始めて、現在好評発売中です。
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大和郡山産いちじくワイン『~無花果の一滴~』の新酒(令和5年度にとれたいちじくを使用)の販売は、2月24日(土)から。同日に行われる「第13回大和な雛まつり」オープニングセレモニー(午後1時30分~/会場:大和郡山市役所庁舎の駐車場〔交流棟側〕)で新酒の振る舞いや販売も予定されているとのことです。なお、いちじくワインといちじくソースは、観光協会、市内のスーパーや酒販店などで購入可能となっています。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年2月8日放送回より