【橋本】 『Song for U.S.A』は名曲ですね!
【中将】 売野・芹澤コンビ、特に芹澤さんはメンバーにとって育ての親とも言える存在だったのですが、チェッカーズが方向転換をはかる中で、フミヤさんと軋轢が生まれてしまったみたいですね。フミヤさんもソロになってから数年前まで芹澤さんの曲は歌わないという状況でしたが、どうやら2020年に和解。フミヤさんが芹澤さんに電話して、謝罪とかしたわけじゃないんだけどお食事に行く仲まで関係回復したそうです。
【橋本】 なんとなく関係修復っていうのが男同士な感じですね! 女性同士だと難しいかもだけど(笑)。
【中将】 30年以上の月日を経たからというのもあるだろうけど、フミヤさんが芹澤さんの曲を歌うようになったのはファンにとってはうれしいでしょうね。人生いろいろです。
さて、映画で演奏していた曲をどんどん紹介していきますが、次は『GO』の収録曲『MY GRADUATION』。彼らのドゥーワップ的な要素がたっぷり詰まった曲です。
【橋本】 歌メロの部分は素敵な卒業ソングだとわかったのですが、間奏の英語の語りはなんとおっしゃってるんでしょうか?
【中将】 制服のボタンをあげた女子に「一発お願いします」とお願いしてビンタされるという、なんとも言えない内容です(笑)。
【橋本】 青春ですね(笑)。
【中将】 チェッカーズは福岡・久留米の不良仲間みたいなところから始まっているので、映画ではフミヤさんを中心にしたメンバーの、ちょっとイキったMCも見どころのひとつでした。「俺たち昔はもっと悪かったから……」みたいな(笑)。次に紹介する『NANA』もそんな不良フィーリングが詰まった曲だと思います。
【橋本】 私の年上の友人が昔、追っかけをするほどのチェッカーズのファンだったそうなんですが、一番好きな曲は『NANA』だと言ってました。
【中将】 『GO』の収録曲でシングルにもなっているから、ファンにとっては印象的な曲でしょうね。歌詞も妙にエッチで「濡れてくれ」「やろうぜ」といった歌詞が性行為を連想させるとして当時、NHKでは歌えなかったそうです。
【橋本】 洋楽とかだとこれくらいの表現は全然大丈夫だと思うんですけどね……。
【中将】 さて、今回(番組で)紹介する曲は次で最後です。『GO』収録曲でシングル。映画のエンディングで披露された『I Love you, SAYONARA』。
これも名曲ですが、あらためて聴いているとチェッカーズの曲ってサウンドも華やかでかっこいいけど、歌詞は案外平凡な青春の風景を歌ったものが多いなと思います。あまり都会的だったり鋭すぎたりしていないからこそ、多くの若者の共感を得ることができたんじゃないかなと。沢田研二さんの『勝手にしやがれ』(1977)もそうだけど、地味な歌詞と華やかなサウンドの組み合わせって、絶妙な化学反応を起こすんですよね。