昨今、ラムネをはじめとするブドウ糖を含む食品が「集中力を高める」という謳い文句で市場に多数展開され、受験生を中心に話題になっています。なんとなく広まっているその知識ですが、実際のところはどうなのでしょうか? ブドウ糖の効果や摂取の注意点などについて、神戸市の栄養士・加藤先生に話を聞きました。
そもそもブドウ糖とは、その名の通り、糖の一種で、自然界に最も多く存在する物質だそうです。炭水化物や果物に多く含まれていて、身体と脳を動かすのに必要でとっても大切なエネルギー源になります。
体内からこのブドウ糖が減ると、身体は低血糖を起こし、頭が働かなくなり、集中できなくなってしまいます。
特に脳はこのブドウ糖しかエネルギーにできないので、頭を働かせるのには必要不可欠。
なので、ブドウ糖を摂取することで集中力が増すというのは、体の仕組みを考えると正しいと言えるでしょう。
しかし、そんなブドウ糖を含む食品などから得られる効果は一時的であり、「あくまで『補助』として考えることが良いのでは」と加藤先生は言います。
ブドウ糖を摂取すると下がってしまった血糖値は確かに上がり、集中力は増すでしょう。しかし、食べすぎは禁物。過剰摂取により血糖値が急激に上がってしまうと、今度はそれを下げようとしてインスリンという物質が過剰に分泌されてしまいます。
皆さんは食後、急激な眠気に襲われた経験はありませんか? その働きがまさにインスリンの過剰分泌による現象だといいます。上がりすぎた血糖値がインスリンによって下がりすぎた結果、低血糖になり、眠気が起こってしまうというもの。集中したくて摂取したはずが、逆の結果を招いてしまっています……。
さらに、食事の代わりにブドウ糖だけを摂取するのも危険だと、加藤先生は警鐘を鳴らします。先に述べたようにインスリンの過剰分泌は、日常的に起こってしまうと糖尿病のリスクが高まるそう。そのうえ過剰に摂取されたブドウ糖は身体の中に脂肪として蓄えられるので、肥満の原因にもなります。
基本的には朝ごはんをしっかり食べて血糖値を安定させるなど、ブドウ糖をはじめ必要な栄養素は食事から補えるのが理想的と、加藤先生。それでも「どうしても、あとひと頑張り!」というときに力を借りるのが良さそうです。集中力が低下しているということは、疲労のサインとも考えられ、大事な時期こそ無理は禁物! 栄養バランスに気を付け、健康を第一に考えたいですね。
なお、ブドウ糖に関する情報は、厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト『e-ヘルスネット』にも掲載されています。