ツッパリやヤンキーの象徴ともいえる、「パチキ」。関西限定の言い方として、「頭突きする」という意味で「パチキいれんど!」なんて使われることもあるのですが、今回紹介する「パチキ」は「剃り込み」を意味します。
1970〜80年代初頭、やんちゃ系のお兄ちゃんが、額の両サイドの生え際をカミソリなどでM字型に剃りあげていて、そのスタイルを「パチキ」って言うてたんです。
当時パチキを入れていた人に話を聞いてみますと、理容店できれいに剃り込んでもらってもしばらくしたら生えてくるので、鏡を見ながら自分で剃ったり、なんやったら毛抜きで抜いたりもしていたそうです。
元ヤンさんは、「ときには剃り込みの角度をエスカレートさせて、『鬼ゾリ』と呼ばれるようなパチキを入れていちびってました」と話してくれました。
さらに、「じゃあ、なんでパチキを入れてたんですか? その理由は?」と質問を続けます。すると、こんな答えが返ってきました。
「当時、みんながやってたからそうするんが当たり前になってたけど、元をたどっていくと、強そう・こわそうに見せるために海外のアウトロー映画や日本の極道映画などに出てくる、悪そうな人物の髪型に似せたんやと思います。映画なんかに出てきた、こわそうな男性のM字型にハゲあがった髪型を見て、『あんなふうに貫禄を出したい』『あんなふうにアウトローにかっこよく見せたい』という思いから始まったのがパチキやと思うで」
つまり、憧れから始まったファッションの一つってことなんですね。