新社会人へのお祝いに贈るプレゼントとして定番の腕時計。普段から腕時計をつけている人のなかで、「ひと目で日にちもわかれば便利なのに……」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。
そんなプチ悩みのある腕時計ですが、実は、昭和時代には腕時計のバンドにアルミ製のカレンダーをつけるのが常識だったのだそう。通販で腕時計バンド用カレンダーを販売している、株式会社アクティバル(福岡県)の花田さんに話を聞きました。
―――「腕時計バンド用カレンダー」とは、どのようなもの?
【花田さん】 腕時計のバンドにつけることが出来る、だ円形をしたアルミ製の1か月単位カレンダーです。時計で時間を確認するだけでなく、ひと目で日にちなどのカレンダーを確認できます。アルミ製なので、時計のバンドの大きさに合わせて折り曲げて取りつけることが可能。昭和の時代、時計を持っている人たちにとっては当たり前のアイテムでした。
―――いつの時代からあった?
【花田さん】 弊社が発祥ではないので詳しいことは分からないのですが、私が子どものときに父親がつけていた記憶があるので、30〜40年前にはすでにあったと思います。当時は、年始や年度が切り替わる時期などの節目になると保険企業や新聞社などが、ノベルティとして12か月分の腕時計用バンドカレンダーを配っていたそうで、それらを使っていたようです。
配っている会社によってさまざまでしたが、基本的に、西暦、元号が書かれたカレンダーが多かったと思います。ほかにも、「睦月」「如月」などの旧暦や、「January」「February」などの英語の月が書かれたものもありました。仕事先で元号や英語をど忘れしたときなんかには、時計をパッと見て恥をかかずに済んだなんてこともあったそうですね(笑)。
―――どういった需要があった?
【花田さん】 いまでも多くの人が腕時計をつけていますが、当時はほとんどの大人がつけている時代。時間などは腕時計を見て確認するのが普通でした。そして、スマホも携帯電話もなかったため、外出先でスムーズにスケジュールを確認することはできませんでした。そこで、腕時計バンド用カレンダーを見ることで、手帳などを取り出さずとも手軽にスケジュールなどの確認ができるとして、特に働く人たちの間で使用されていました。
バンドには当月のカレンダーをつけるのが基本でしたが、なかには、翌月のカレンダーとあわせて2つつけている人もいました。
私が子どものときには、父親が使い終わったアルミカレンダーをもらっていましたね。当時はピカピカしたアルミ製品が今よりも少なかったので、子どもたちにとっては貴重なものでした。