関西フィルハーモニー管弦楽団(通称・関西フィル / 本拠地・大阪府門真市)が、次世代を担う関西ゆかりの若手演 奏家の発掘と育成を目的に「ライジングスター・プロジェクト」を立ち上げた。
公益財団法人 関西・大阪21世紀協会とトヨタモビリティ新大阪株式会社(本社・大阪市淀川区)の共催。
このプロジェクトは、「才能が豊かで、将来的に世界での活躍を見据え、チャンスをつかもうとする若い演奏家」に挑戦してもらいたいとの思いで、2024年夏に公募でオーディションを実施し、関西フィルと共演するソリストを選考するもの。応募期間は4月1日~5月31日。
舞台は、関西フィルと首席指揮者・藤岡幸夫氏がクラシック音楽の裾野を広げるため長年取り組んでいる「Meet the Classic」シリーズの第49回公演(2025年8月 大阪市中央区・住友生命いずみホール)を予定している。このシリーズは、オーケストラを心から楽しんでもらうための取り組み。
トヨタモビリティ新大阪は、2023年1月にトヨタカローラ新大阪とネッツトヨタ新大阪が合併して誕生した。
そして、クラシック音楽の若手演奏家たちが各地域に出向き、日ごろオーケストラに接することがない子どもたちや高齢者に向けた演奏活動「アウトリーチコンサート」などに対し、関西・大阪21世紀協会が助成する事業「アーツサポート関西」の活用を始めた。
同社はすでに20件の演奏活動に総額300万円の助成を行なっており、2024年度も総額300万円の助成を予定している。
関西では、関西フィルをはじめ多くのオーケストラが活動し、世界で活躍する演奏家を数多く輩出するなど、クラシック音楽が息づいてきた地域だった。
今でも多くの学生や若い世代の男女がプロの演奏家を目指し日々研鑽を積んでいる。しかし、クラシックコンサートに足を運ぶファン層の高齢化が指摘されており、新たなファン層の獲得が急務となっている。
同時に、演奏家にとっても関西で活躍するチャンスがなく、首都圏にその活路を求める傾向にあるという。
このプロジェクトでは、機会に恵まれなかったものの、腕に自信がある若い演奏家のチャレンジを期待している。
カー・ディーラーとしてのトヨタモビリティ新大阪では、「カーボンニュートラル」と「地域貢献」の観点で、どのように社会貢献するかを模索していた。
このうち「地域貢献」を模索する中、同社の 久保行央(くぼ・ゆきお)社長は、音楽大学出身の演奏家や作曲家が「本職だけでは収入が成り立たず、自分たちでリサイタルをするにも捻出する資金がない。それでもプレーヤーとしての活路を見出したい。そしてクラシック音楽を皆さんに届けたい」と、日々アルバイト生活を送っている姿を目にして、何とか夢をかなえられないかとの思いから「トヨタモビリティ新大阪ASK(アーツサポート関西)支援寄金」を始めたという。
久保社長自身も、近ごろではピアノ演奏をたしなむほど音楽に対する意識が高くなった。
それだけではない。久保社長は、“東京一極集中”がいまだに根強く、関西の経済と文化が発展しない点にも着目。「経済と文化は両輪。経済が潤わないと文化は根付かない」という持論から、若手の演奏家の卵を関西で発掘し、世に送り出したいとの思いを語った。
藤岡氏は「ライジングスター・プロジェクトの名にふさわしい、素晴らしい演奏家に会えることを期待している。実力のある人にはいきなり大きな舞台を与えるのが自分のポリシーでもあり、関西フィルの文化。それだけに、本当にソリストとして才能がある人を選びたい。場合によっては、“該当者なし”ということもあるかも知れない。慈善事業として、ただ若手にチャンスを与えるという場でもない。なぜか?それはコンサートは我々にとってとても大切な場だから」と述べた。
そして「気軽に応募していただきたいが、選出は気軽ではない」と強調した。
さらに「『音楽家になりたい』と夢を追いかける人は、絶対にあきらめずに頑張り続ける。そもそも音楽家は『自分はもうだめだ』と思った時点で終わり。関西フィルは才能あるソリストとなる若手に、一番大きなチャンスを与えているオーケストラだと思う」と話した。