選ぶ曲やテーマは、チームごとにさまざま。昔から伝わる楽器やサンバステップの“元祖”を大事に守り貫いているところもあれば、近代的なリズムや音を取り入れているところもあるといいます。
サンバの起源について、一紗さんは諸説あるとした上で「アフリカの移民や奴隷たちの信仰や音遊び、ダンス、楽器が元というのが有力。そこから、リオデジャネイロやサルヴァドールという、移民が多かったブラジル沿岸部の地域に伝わり、発展していったとされています」と説明。さらに「それらの地域にくわえ、人種や宗教、文化がミックスされて進化を遂げたものなので、その地ごとでサンバルーツがあります」と話しました。
ちなみに、サンバと言えば……で有名な羽根を背負った衣装も、メンバー全員が着るものではないのだとか。一紗さんもかつて担当した「パシスタ」に選抜された数人のみが着られる、限定且つ特別な衣装なのです。
一紗さんによると、サンバカーニバル自体はブラジル各地で行われているのだそう。「今では、観光地化されたリオのカーニバルが一番有名ですが、迫力で言うとサンパウロのカーニバルも同等ですし、山車の高さはサンパウロの方が高いんです。合格したあとに知ったことですが、私は、サンパウロで一番古く、リオを含めても2番目に歴史のあるサンバチームに飛び込んだようです」(一紗さん)
ブラジルで生まれたサンバは、やがて日本でも親しまれるようになりました。有名なものに「浅草サンバカーニバル」や「沖縄サンバカーニバル」があり、例年5月におこなわれる「神戸まつり」のサンバパレードもそのひとつです。
イベントに参加する人向けに一紗さんが開くサンバレッスンには、幼児から50歳以上のメンバーも大勢通っており、『新しいことにチャレンジしたい!』と、この1年のうちに門を叩いた新たな仲間も多いそう。一紗さんは「サンバは、音を楽しんでいる姿が表現できれば、衣装も年齢も性別も関係ありません」と語りました。
開催間近の神戸まつりには、一紗さんの教え子も参加します。一紗さんは当日に向け「技術的な練習もしつつ、現地ブラジルの心をしっかり表現して、サンバを踊る楽しみを会場の皆さまにしっかり共有したいと思います!」と熱いメッセージを届けました。
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起源、音楽、リズム、開催場所や会場など、地域・チームごとの特色があるというサンバ文化。その背景を知れば知るほど、奥深さに触れられそうです。
(取材・文=つちだ四郎)
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