かつては多くの演芸場が並び、「東の浅草、西の新開地」とも称された大衆娯楽の街・新開地。時代が移り、少し廃れたイメージをもたれることもあったというが、2018年に落語の定席「神戸新開地・喜楽館」が開館。今ではにぎわいを取り戻しつつある。
新しい店も増え、女性や子ども連れも多く見受けられるようになった新開地では、女性の店主・オーナーも増えつつあるという。「Hostelユメノマド」(神戸市兵庫区)のオーナー、三上真由美さんもその一人。三上さんの祖母が住んでいたという築50年以上の建物を改修した同施設は、ことし11年目を迎える。
生まれも育ちも新開地だという三上さんは、「この町と思い入れのある建物を残したい」という思いからホステル経営を始めた。「外国人がよく泊まりに来てくれるのですが、飲み屋さんに行って『よく新開地に来てくれたな』と声をかけられビールをおごってもらって帰ってくる外国人の方もいて。街自体で受け入れてくれてる感じが伝わってきました」と三上さん。
コロナウイルスが猛威を振るっていたころは、ちょうど改修を検討していた時期だったという。自身に子どもが生まれ、子ども連れが泊まれるホステルがなかったので自分で作ろうと思い立ち、改修を決意。子連れ用の個室の設置などをした。古い調度品を多く配しているため、ノスタルジックな感じを楽しむ人も多いのだとか。
宿泊をしなくても地域の人々が遊びに来れるようにとカフェも経営。三上さんは「泊まられている方と地域の方が交流できるような場所にしています。いろんな交流の場になったら」と話す。
これまで外国人たちを新開地に呼びこむべく奮闘してきた三上さん。様々な文化に触れることで世界が広がり、次は子どもたちにこの地の良さを伝えたいと考えた結果、保育園を作りたいと思うようになった。そんなとき、神戸市東灘区で保育園を運営している園長と出会うきっかけがあり、考えが合致。今年の秋ごろを目標にインターナショナルスクールの保育園を作ろうと動いているのだそうだ。三上さんは「自己表現ができる子どもが増えていくよう、少しでもサポートしたい」と締めくくった。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2024年3月5日放送回より