2025年大阪・関西万博では、「何をレガシーとして残すのか?」というころが盛んに議論されているが、おそらくそれは、恣意的に残そうとして残るものではないように思う。意図をしなかったのに、半ばひとりでに残ってしまったものこそがレガシーであり、意識されないレベルまで到達したものが、万博の開催意義を静かに伝えてくれるのだと思う。
2025年から半世紀後、2075年に当たり前になっているもの、「実はコレ、50年前の万博で初披露されたモノらしいよ」などと発祥が忘れられるぐらい、未来の我々に欠かせないものが、真のレガシーなんだと思う。
1970年大阪万博をリアルに感じることができなかった第2次ベビーブーム世代の私が、いまやエキスポ・ウォッチャーとなり、当時の熱狂ぶりに加われなかったために、実体験した世代がうらやましい。その世代からは、「2度目の大阪万博は、オレたちの時代(1970年)を越せないと思う」と言われることもしばしばある。
しかし、新進気鋭の建築家や芸術家が総力を結集したパビリオンや催事が、メディアを通じて日々報じられている。きっとこの中から、未来の岡本太郎や丹下健三が誕生するのだろうと感じずにはいられない。
《「エキスポ・ウオッチャー」二神敦さんインタビュー 終》