『ABCの歌』ってありますやん? あの歌は、私が小さいころから歌われてきた曲ですが、英語に慣れ親しんでもらうための導入としてでしょうか、いまでも小さな子どもたちが歌っているのを耳にします。
先日も、「A〜B〜C〜♪」と元気よく歌っているのを聞いていたのですが、後半で「V(ヴィー)〜W(ダブリュー)〜X(エックス)〜Y(ワイ)〜Z(ズィー)〜♪」という声が……。
「えっ、Z(ズィー)!? Z(ゼット)ちゃうん!?」
そうなんです。いまは、Z(ゼット)ではなく、Z(ズィー)と歌われているんです。子どもたちの担任をしている若い先生に聞いてみても、「えっ、Z(ズィー)ですよ」と言うのです。
「一体、Z(ゼット)はどこにいったんや!?」と思い、英語教室の講師の皆さんにも話を聞いてみました。
以前は確かに「Z(ゼット)」と言っていたのですが、そもそも「Z(ゼット)」は日本人特有の和製英語の読み方(発音)なのだそう。おそらく、イギリス英語の発音が「Z(ゼット)」のように聞こえたことから、日本人が言いやすいこの音に定着し、歌でも同じように発音されるようになったのだろう、とのこと。
実は、イギリス英語とは異なり、アメリカ英語では「Z(ズィー)」と発音するのです。近年になり、アメリカの英語教材に触れる機会が増えたこと、アメリカ人が歌う『ABCの歌』を聴くことが増えたことから、『ABCの歌』でも「Z(ズィー)」と発音するように変化していったんですって。
「つまり現在、日本人が学ぶ発音がアメリカ英語寄りになっているということなんです」と説明してくださいました。