酒に関するルールは国によってさまざまです。飲酒可能な年齢・場所も異なります。特に、カナダはルールがシビアなのだとか。何も知らずカナダを訪れると、うっかり違反してしまう可能性も……。そこで、カナダの留学エージェント「Admission Hub」のMasakoさんに現地の飲酒ルールについて教えてもらいました。
カナダで飲酒可能な年齢は州によって異なりますが、多くは19歳から。アルバータ州・マニトバ州・ケベック州などは18歳からとなっています。日本では20歳以上、アメリカでは21歳以上が飲酒可能年齢なので、カナダは他の国より早く「酒に触れる機会」が訪れるといえます。
とはいえ、日本と同じく飲酒可能年齢に達していない者へのアルコールの販売・提供をすることは法律で禁じられており、カナダではより厳格なルールが設けられています。たとえば酒屋やレストラン・バーでは25歳以下に見える客に対して注文前に必ず身分証明書の提示が求められ、しっかりと年齢確認されます。「確認をせず販売・提供してしまった場合、店側は厳しい取り締まりを受けるため確認を徹底しています。日本人をはじめアジア人は全体的に若く見られるため、私は30代ですが身分証明を求められることがありますね」とMasakoさん。
最も特徴的なのは「公共の場での飲酒」が禁止されているという点です。屋外・屋内を問わずバスや電車、公園や路上などで酒を飲むことはかたく禁じられているとか。
「近年では、夏の期間のみ指定された公園やエリアでの飲酒がOKという試みを行なっている州もあります。それ以外の場所や時期に公共の場で飲酒をしているのが見つかった場合は、警察官からの口頭注意や罰金が課せられます。周囲の人や物に被害が発生している場合、逮捕されることもあります」(Masakoさん)
酒を入手できる場所も限られており、販売資格を持っているリカーショップ(酒屋)やスーパーマーケットでしか購入できません。しかも、スーパーでは時間制限も設けられています。また、州によっては飲食店でのアルコール提供時間が法律で定められており、時間を過ぎて酒を提供した場合も罰せられる可能性があります。日本のように、何時であってもコンビニや自販機などで酒を購入できる環境に慣れていると驚くかもしれませんね。
「個人レベルで『酒を提供するための資格』を取得しないと、飲食店で働くことができない州もあります。そのため飲食店への就職活動は、まず資格を取るところからスタートします。試験内容は結構難しくて、テキストを読み込み数週間の勉強をする必要があります。衛生上の問題からアルコール提供者としての責任まで、出題範囲は広いようです」(Masakoさん)
ちなみに、すでに酔っている人に酒を提供しても罰せられます。ここまでの話から推測するに、カナダでは「公共の場で酔っ払うのはタブー」なようです。なぜカナダではこれほどまでに飲酒に厳しいのでしょうか? Masakoさんは「飲酒による事故やトラブルを防ぐため」と推測。さらに「制限を無くしてしまうことで、飲酒運転や暴力行為など問題行動を起こす人が増えることを危惧しているのではないかと思います」と見解を述べました。
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厳しい飲食への取り締まりがありつつも、酒文化自体は盛んなカナダ。リカーショップでは取り扱いの種類が豊富で、世界各地のワインやビールがラインナップし最近では日本酒の種類も増えているそう。バーの数も多く、人気店だと週末は混み合って入れないことも多々。日ごろ厳しいルールを守っているからこそ、そのぶん楽しもうとしているのかもしれませんね。
(取材・文=つちだ四郎)
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