タレントでドラァグクイーンのサマンサ・アナンサが、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、本人のドラァグクイーンネームの由来について語った。
ドラァグクイーンとして活動するにあたり、先輩のナジャ・グランディーバから「名前を決めたほうがいいよ」「いい名前を思いついたから聞きにおいで」と言われたサマンサ。そこで聞かされた名前は、なんと、「THE UNCO(ジ・ウンコ)」だった。「おしゃれやろ」と言われたが、「この先この名前で活動するのはちょっと……」と思ったサマンサは、「自分で考える」と丁重にお断りしたそうだ。
ドラァグクイーンの名前は特に、“かぶり”がないほうが良いとされているため、当時ほかにいなかった「サマンサ」に決めたが、その旨をナジャに伝えると「それだけではダメ」と言われたという。
今でこそ短めでシンプルな名前が増えているが、当時は、「山田花子」のように「苗字」と「名前」の組み合わせが多かった時代。そのため、サマンサも「サマンサ・ドヤンサ」などを候補に考えていたが、ミュージカルなどにもなっている作品『アナスタシア』を観てヒントを得たそう。
ただ、チヤホヤされたいわけでも、アイドルでもないので、お姫様の名前はどうなのかと思案したところ、「アナスタシア」を英語表記すると最初の3文字が「ANA」となることがわかった。かつて勤めていた航空会社に通ずることもあり、「サマンサ」と韻を踏んでいるように聞こえる「アナンサ」にたどり着いた。
最近知ったそうだが、ナジャから提案された「THE UNCO(ジ・ウンコ)」は、先輩からのテストのような意味合いもあったという。実はそのころ、サマンサ以外にも名前の相談をしてきた若手ドラァグクイーンが数人おり、全員に「THE UNCO(ジ・ウンコ)」をすすめていたのだとか。
このテストに対し、試行錯誤して「自分で考える」と答えたサマンサは、第一関門を突破。「THE UNCO(ジ・ウンコ)」の被害者は多数いるようだ。
サマンサのように自分で考える人、誰かに考えてもらう人など、ネーミング方法はさまざまだが、“かぶり”がないのは、ドラァグクイーン名の特徴ともいえる。センスあふれる名前が多いのもそのせいだろう。
ナジャ世代はスーパーモデル好きな世代でもあることから、スーパーモデルのような名前やそれにちなんだ名前も多い。なかには放送できない名前もあるそうで、メディア露出が増えたことにより改名する人もいるのだとか。
名前にはインパクトも必要で、たとえば「ナジャ」「ドジャ」「ダジャ」のような、「ジャ」「ギャ」を含むものがインパクト強めだとされているという。
サマンサが親しくしているヒップホップアーティスト・LUNAは、登山家が最高峰のチョモランマを目指すように、「どうせやるならてっぺんを目指す」という思いを込めて「チョモランマ・ルナ子」を名乗っているという。