“ローリング・ピアノマン”リクオ 曲作りの極意明かす 「好きな曲へのアンサーソング書く」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“ローリング・ピアノマン”リクオ 曲作りの極意明かす 「好きな曲へのアンサーソング書く」

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【近藤】 年間130回以上ものライブをしていて、のどはつぶれないんですか?

【リクオ】 あまりつぶれないですね。ただ、風邪気味なときと寝不足のときはダメですよね。

【近藤】 それはそうですよね。ボーカルって、体が楽器ですもんね。

【リクオ】 でも、ライブをやるときは頑張りすぎないようにしているんですよ。自分1人だけで成り立たせるのは、限界があると思うんで。

会場の響きを感じたり、お客さんのエネルギーを受け取ったり、光合成みたいな感じでライブ中に受け取ってインプットする、ということを大事にしていて。だから、自分のなかですべてを成り立たせるのではなくて、エネルギーをもらって、それを循環させて返していく、というような心持ちにしていたほうが疲れないし、いいステージになる気がするんですよね。

【近藤】 すごく聞きたかったことが聞けちゃった。その通りやわ。自分で成り立たせようとしすぎてプレッシャーとかで緊張して、全力でパフォーマンスできなかったりするから。

【タケモト】 リクオさんは、2020年にデビュー30周年を迎えられて、おととしには本も出されたそうですね。

【リクオ】 そうなんですよ。もともと文章を書くのが好きで、SNSに書いていた言葉を流さないように全部コピーしてためていたんですよ。そのなかで、自分の内面を表しているような言葉や、社会とコミットしているような言葉をピックアップして、それに新たに書き下ろした文を合わせて、ポケットサイズの文庫本で出させてもらいました。

【近藤】 現在は、SNSのなかで日々いろいろな言葉が流れていくのが主流ですけど、それを流さないように書き留めてたんですね。

【リクオ】 だから、『流さない言葉① ピアノマンつぶやく』というタイトルにしました。

【近藤】 でも、(言葉が)どんどん流れていくから本当に大事ですよね。

【リクオ】 条件反射してしまいますもんね。

【近藤】 そうなんですよね。

【リクオ】 条件反射しないために作ったアルバムが、リリースしたばかりの『リアル』ともいえるかもしれません。

コロナ禍でライブができなくなって、活動が滞って、部屋のなかにこもっているときに書いた曲が多かったんです。そういう状況下で、自分の気持ちを反射的に吐き出すんじゃなくて、ちょっと立ち止まって振り返って、いろいろ考えてみたり悶々(もんもん)としたりしながら、そういう過程のなかでも「一筋の光が向こうにあるな」みたいな、そういう思いも抱きながら書いた曲が(アルバム収録曲には)多いです。あとは、酒飲みのどうしようもない曲とかも収録されています。

リクオのニュー・アルバム 『リアル』

【近藤】 お酒が好きなんですね。

【リクオ】 弱いのに好きなんですよ。「飲んだら飲まれろ」ですね。

【近藤】 酔っ払ったまま曲を書くこともあるのですか?

【リクオ】 酔っ払うと曲は書けないですね。酔っ払った次の日の朝に書きます。

【近藤】 曲を作ることがしんどくなることはないのですか?

【リクオ】 なりますよ。「曲を作らなあかん」と思うとしんどいんですよ。自主レーベルでリリースするようになってからは自分のペースでできるので、極端な言い方をしたら、作りたいときに作ればいいんですよね。

【近藤】 それって逆に、作らなくなりませんか?

【リクオ】 作らなくなります。でも、曲を作るのは好きなんですよ。だから、(頭の中の)どこかで「曲は作り続けよう」と思い続けていて。できないんじゃないかなと思うこともあるんですけど、「いやいや、待てよ。今までこんないい曲も書いてきたやろ。できるで!」と、自分で思い込むようにします。

【近藤】 今回、新たなアルバムをリリースされましたが、コロナ禍で自宅にこもる時間が多いなかでは、インプットというか刺激も少なかったのではないですか?

【リクオ】 意外とそんなことはなくて。いろいろな人がああだこうだ言っていることに対して、「いや、それはどうなんかな」と自分と会話できる時間も長かったですし、そういう意味では、ゆっくり自分に向き合える時間がありましたね。コロナ禍があけてからもそういう時間を持ち続けたいなと思うし、そうじゃなければ曲ができないよね。なんか、“余白”がないと。

【近藤】 そうですよね。

【リクオ】 でも、曲を書くための方法をひとつ知ってるんですよ。

【近藤】 それはマジで教えてほしいです。

【リクオ】 自分の好きな曲に対する“アンサーソング”を書くんですよ。

【近藤】 はあ〜。それはやったことないです。

【リクオ】 あと、「この曲腹立つわ」という曲があったら、腹が立つ理由を考えて、腹が立つフレーズに対するアンサーを書くんですよ。「自分だったらこう表現するわ」みたいな。

【近藤】 ほかの人の曲を聴いていて引っかかる部分に向けて、「自分はこう思っている」というのを曲にするということですね。

【リクオ】 共感する場合にも、「この人はこういう言い方をしているけど、僕やったらこういう言い方をするな」とかでもいいと思うんですよ。あと、めっちゃ好きな曲のワンフレーズをパクる。

【タケモト】 はっきり言っちゃった。

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