「バイク×コーヒー」で記憶に残る一杯を 移動式コーヒー店の思い オーナーは元鉄道技師 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「バイク×コーヒー」で記憶に残る一杯を 移動式コーヒー店の思い オーナーは元鉄道技師

LINEで送る

この記事の写真を見る(5枚)

「味も見た目もインパクトがある」と、神戸のバイク愛好家の間で話題のコーヒー店があるという。ツーリングスポットを中心に出店する、移動式コーヒー店の「車輪珈琲」だ。元鉄道技師の顔も持つオーナー、ヤマダさんに話を聞いた。

■缶コーヒーが好きだったけれど

 ヤマダさんの本職は会社員。父の影響で乗り物好きに育ち、鉄道技師として海外での技術支援の経験も持つ。2021年から2年ほど住んだ札幌で、コーヒーに開眼したという。

「バイクで道内をツーリングするなかで、とあるコーヒー工房で飲んだ一杯の味わいに衝撃を受けました。口に含んだ時に、舌の奥で感じる刺激と、飲んだ後も舌に残る濃厚な余韻で五感が刺激され、それまで缶コーヒー派だった私の価値観が大転換したのです。まさに人生を変えた一杯でした」

自らの感性を磨くため、至高の一杯を求めてツーリング。普段は自宅ガレージで焙煎と抽出の腕を磨き続けているヤマダさん。 (写真提供:車輪珈琲)

 湿度が低く冷涼な北海道の気候と、ツーリングによる心地よい疲れが、口に含んだ瞬間の感動を増幅させたとも話すヤマダさん。ハンドドリップによる味や香りも含めたコーヒーの奥深さに夢中になり、バイクでのカフェや焙煎所めぐりが始まった。

「ほどなく自分でもおいしいコーヒーを淹れたいと思うようになり、器具を揃えて目標とする焙煎士の工房に通いました。そして2023年に神戸市へ転居し、ツーリングやカフェめぐりを重ねるうちに、『バイク×コーヒー』というコンセプトでの開業を決意したのです」

■ライダーの聖地でわかったこと

 とは言え、いきなり店舗を持つのはリスクも高い。自営業の妻のアドバイスと管理の下、副業の移動式店舗という形でスタートすることになった。そこに舞い込んだのが、神戸市によるにぎわい創出のための社会実験プロジェクトの話だった。

「呑吐(どんど)ダム周辺の、つくはら湖展望台のにぎわい創出のための社会実験でした。神戸市北区と三木市にかかる呑吐ダムのつくはら湖は、ライダーの間では聖地として有名です。その展望台駐車場で、キッチンカーなどの移動販売形式で飲食を提供するというプロジェクトでした」

バイクやクルマの愛好家が集まる、呑吐ダムつくはら湖展望台駐車場 (写真提供:車輪珈琲)

 ヤマダさんは早速、テントや給水タンク、コーヒーの抽出器具などの道具を調達して神戸市の営業許可証を取得。店名の「車輪珈琲」には、鉄道、クルマ、バイクと車輪が付く乗り物で出かける楽しさと、五感を刺激し“記憶に残る一杯の珈琲”を届けたいというヤマダさんの思いが込められている。こうして2024年5月26(日)と6月2日(日)に出店した車輪珈琲は、大好評を博した。

 メニューは、「ホットコーヒー」「アイスコーヒー」が各500円、「深煎り濃厚アイスコーヒー」が1000円(それぞれ税込)だ。いずれもヤマダさんが各地の焙煎所で出会った、選りすぐりの豆が提供される。この日のアイスコーヒーには、神戸市東灘区御影の焙煎所の豆が使われた。時折、フルフェイスヘルメットとライダースジャケットを着用して、ハンドドリップのデモンストレーションを行うと、その姿を撮影する人が続出したという。

神戸の呑吐ダムつくはら湖展望台駐車場に出店時の「車輪珈琲」。オーナーがフルフェイスヘルメットとライダースジャケットを着用してハンドドリップのデモンストレーションを行う様子 (写真提供:車輪珈琲)
LINEで送る

関連記事