世界文化遺産・平等院(京都府宇治市)で、「平等院蓮(びょうどういんばす)」が見頃を迎えた。
1999(平成11)年に行われた、国宝・鳳凰堂を囲む阿字池(あじいけ)の発掘調査で、江戸時代後期(約200年前)の地層から出土した1粒の蓮の種を発芽させたもの。
平等院独自の品種で「平等院蓮」と名付けられた。2001(平成13)年以降、毎年花を咲かせている。
平等院蓮は、つぼみの状態では先端が紅色だが、開花すると純白に変わる。
鳳凰堂の本尊『阿弥陀如来坐像』の背後に描かれている仏後壁(国宝・平安時代作)にも、平等院蓮を思わせる、先端が紅を帯びた蓮の花びらが描かれている。
20年来、平等院蓮の手入れをしている寺嵜将士(てらさき・まさし)さんは「今年は昨年に比べて約1週間早い開花となった。温暖化も影響している。蓮の開花にとって大切なのは、気温ではなく水温。今年の春は例年より水温が高く、少しづつ開花時期が早まっている。花に近づくと漂う、スパイシーかつ甘い香りも癒される」と話す。
蓮の花は3日間しか咲かないため、開花の見極めが難しい。早朝に咲き、昼頃にはいったん閉じてしまうため、午前中の鑑賞がおすすめ。
神居文彰(かみい・もんしょう)住職によると、「純白の蓮の花を写真に収めるには、空が少し曇っている日がおすすめ。そのほうが(白色が)映える。陽射しが強いと色が反発し、自分の影も映ってしまう」という。見頃は8月初めごろまで。
平等院の開門時間は午前8時半~午後5時半(最終受付は午後5時15分)。拝観料は大人600円、中高生400円・小学生300円。