来年(2025年)1月に阪神・淡路大震災から30年を迎える神戸市で、災害時に帰宅困難者を一時滞在施設に案内するシステムの運用が、今年4月から始まっています。
突然の災害で鉄道各社が同時に運行不可能になった場合、神戸の中心部にある各線の三宮駅(JR三ノ宮駅、神戸市営地下鉄三宮駅および三宮・花時計前駅、阪急・阪神の神戸三宮駅、ポートライナー三宮駅)には、およそ20万人の行き場を失った帰宅困難者があふれることが予想されています。
混乱の中で二次災害を避けるべく、神戸市の「帰宅困難者支援システム」では、駅構内のデジタルサイネージや駅前のビル看板に一斉に二次元コードを表示。それをスマートフォンで読み取ることで、ウェブ上で一時滞在できる施設への案内を受けることができるというものです。神戸市によると、このシステムは全国初とのことです。
駅の利用者は、通勤や通学のほか、出張や観光旅行など様々。神戸に詳しい人もいれば、全く土地感がない人、日本語が理解できない人も。突然の災害で一度にどのようにして一時滞在場所を知らせることができるのでしょうか。神戸市危機管理局係長の蔵元良平さんに話を聞きました。
帰宅困難者対策の検討のきっかけは、2011年3月の東日本大震災。複数の公共交通機関が運行停止したことにより、家に帰ることができない「帰宅困難者」が多く発生しました。
神戸市はこれまで観光や買い物に来た人々を一時的に滞在できる施設へ案内する方法として、市役所そばにある東遊園地など、大きい公園に一時的に集め、職員が手作業で振り分けを行うことを想定していました。
しかし、この方法では帰宅困難者の移動にかかる負担や案内完了までの時間に課題があったため、このたび帰宅困難者支援システムの構築に踏み切ったそうです。令和4年度(2022年度)から構築に向けて調整や協議を行い、令和5年度(2023年度)にシステムを構築、令和6年度(2024年度)4月より運用開始と、スピーディーな対応が行われました。
それでは実際に災害が起こったとき、どのようにこのシステムが発動されるのでしょうか。
地震等の災害が発生し、複数の公共交通機関が運行停止した際は、神戸市側で災害モードを起動。三宮駅周辺の大型デジタルサイネージや看板などに二次元コード(QRコード)が掲示されます。
まずはスマートフォンで二次元コードを読み込み、自分の属性を選択します。例えば避難に擁護が必要な場合は「要援護者」、小さい子どもが一緒であれば「乳幼児家族」、女性専用の施設を希望する際は「女性専用」。海外からの訪日客や日本語が理解できない人は「外国人の方」、どの施設でもかまわないなら「特になし」など。