カルタ札にもなった「伝説の勝負」 囲碁棋士・中野泰宏九段が振り返る、解説者も驚いた“歴史的ミス” | ラジトピ ラジオ関西トピックス

カルタ札にもなった「伝説の勝負」 囲碁棋士・中野泰宏九段が振り返る、解説者も驚いた“歴史的ミス”

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 囲碁棋士の中野泰宏九段(兵庫県神戸市在住)がこのほど、劇作家・演出家の平田オリザさんがパーソナリティを務めるラジオ番組『平田オリザの舞台は但馬』(ラジオ関西)に出演。囲碁を始めた経緯や伝説の勝負、近年引き継いだ囲碁サロンのエピソードなどを、人柄あふれる語り口で2週にわたって披露した。

 中野九段と平田さんの出会いは、子ども囲碁教室。当時未就学児だった平田さんの息子は、最初こそ帰りたい素振りをみせたそうだが、このイベントをきっかけに今では毎日地元の碁会所に通うほどの熱中ぶりだという。

 そんなきっかけをつくった中野九段が囲碁を始めたのは、小学2年生の頃。将棋や囲碁が好きだった父の影響とのこと。

「福岡県豊前市の何もない田舎に育ったのですが、日曜になると午前は将棋、午後は囲碁のテレビを見ているような父親でした。そんな父の同僚が囲碁教室をやっていて、そのお手伝いを始めたことがきっかけで、僕も教室に通い始めました。あまり覚えていないんですが(笑)」(中野九段)

 その後、少年少女囲碁大会で福岡県代表として全国5位に入賞するなどめきめきと頭角を現し、小学校卒業と共に囲碁棋士を目指して上阪。中学2年の時(1992年)に入段を果たす。順調にプロとしてのキャリアを重ね、2005年1月に27歳で九段昇段。今期は9勝2敗と好調だ。(2024年6月時点)

中野九段 10歳の頃 中国・北京で囲碁交流
中野九段 10歳の頃 中国・北京で囲碁交流
アメリカでの指導風景
アメリカでの指導風景 九段昇段8年後のこと(2013年撮影)

 とはいえ、囲碁においても世代交代は進んでおり、プロ棋士にとってAIは勉強のツールとしてもはや必需品。中野九段も自分の試合を入力し、分析に利用しているという。

「将棋やチェスに比べ、囲碁は盤のマス目が多いため、人間の方が強い時代が長く続いていましたが、7~8年前にとうとう(AIが)人間を超えてしまった時は相当なインパクトでした。囲碁は判断を問われるゲーム。自分の判断力をより正しいものに書き換えていくことが求められる。AIはその部分で有効です」(中野九段)

 去年の春、中野九段は兵庫県芦屋市にある囲碁サロンを引き継いだ。「(現在)89歳の女性オーナーが体調を崩されたんです。70歳の時から続けてこられたサロンのことが心配で、夜も眠れないとおっしゃる。それまで打診はあれどお断りしていましたが、日に日に悪くなっていくのを見ると気の毒で……。僕が引き継いでからは、日に日に体調が良くなって、今では毎日、碁を打ちに来られているんですけどね(笑)」。

芦屋囲碁サロン
芦屋囲碁サロン

 芦屋囲碁サロンでは、指導対局や子供囲碁教室のほか、趣味の津軽三味線を披露する会や中野九段と女流棋士の真剣勝負などユニークなイベントも行っているという。“オーナー1年生”の中野九段も、忙しい対局の合間を縫って可能な限り参加、SNSでの情報発信もあってか、遠方のファンや若い方の利用も増えてきたそうだ。

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