番組では、伝説の(?)逆転負け(第54回NHK杯1回戦:2006年)にも言及。中野九段は「あれは石田(芳夫)先生が途中でミスをされているんです。僕はその時に投了されるのかな、と思ったんですがなさらなくて。いつまで打つんだろう……とずるずるやっているうちに、自ら駄目を詰めてしまった」と振り返った上で、その時の頭の中を明かした。
「僕の中では理屈があって、何手も先のイメージ図を描きます。“その場所”については『自分がこう打ったら相手はこう』とイメージしていた。ところが相手が先に“その場所”に打ってきたのに、(自分がもともと)イメージしていた形通りに打ってしまった。余裕がなかったんでしょうね」。そして「プロ選手がおよそ考えられない歴史的なミスといいますか……それをテレビでやっちゃったっていう。解説の方も驚いてました」と自ら苦笑しながら語った。
この勝負は、のちに関西棋院が発売した『囲碁格言かるた』で「アタリに突っ込むプロもいる」という札になるほど話題となった。
平田さんは、中野九段のもう一つの趣味である合気道にも触れた。平田さんが「囲碁と合気道は少し似ていますよね。勝ち負けが分かりにくかったり、相手の力を利用したりするところとか」と水を向けると、中野九段も「どちらも理屈のようなものが存在していますね。合気道だと、相手の身体を理に適うようにつかう。囲碁だと盤上の石を理に適うように置く。似ているところがあると思います」と応え、「囲碁に興味を持たれた方はぜひ、囲碁サロンも覗いてみてください」と締めくくった。
※ラジオ関西『舞台は但馬』2024年7月25日放送回より