姫路信用金庫(本店:姫路市十二所前町105)はこのほど、取引先企業の景況感を調べる「景気動向調査」を行い、結果を「ひめしん景況レポート(2024年6月期)」として発表した。調査は6月上旬、取引先450社を対象に実施、446社から回答を得た。対象期間は、24年4月から6月までの3か月間。
同金庫の調査は、1975年から4半期に一度実施しており、今回が195回目。対象は、兵庫県播磨地域から明石市、神戸市にかけての企業で、「製造業」と「非製造業(卸売、小売、運輸・サービス、建設、不動産)」の計6業種に分けて行う。対象のうち87%以上が従業員50人未満の規模と、中小企業や地場産業の業況を反映した調査となっているのが特徴。
調査の結果、全体の業況判断DI(景況が「良い」と感じている企業の割合から「悪い」と感じている企業の割合を引いた指数)は、全業種の総合で、前期(24年1-3月期)から8ポイント増の▲3と改善した。
業種別で見ると、「製造業」は前期から16ポイント増の+3、「非製造業」も前期から5ポイント増の▲5となり、小売業、不動産業を除く3業種で改善した。来季(24年9月期)の業種別予想では、製造業・建設業・不動産業以外の業種は今期より改善する見通し。
「製造業」は前期から大幅に改善した。21業種中、金属製品、一般機械器具など12業種で改善し、悪化したのは輸送用機械器具など3業種だった。大幅改善した業種には、事業再構築補助金を活用した大型設備の導入による秋以降の大口受注(金属製品)、AIを活用した設備の導入に伴う業務効率化による増収増益傾向(電気機械器具)など、好景気の予兆を感じさせる動きも見られる。来期の予想業況判断DIは今期から4ポイント減の▲1と悪化の見通し。
「非製造業」は、運輸・サービス業、建設業では改善、卸売業では小幅改善したものの、小売業と不動産業はともにやや悪化した。建設業では、大阪・関西万博関連の受注が追い風となった企業も。なお来期の予想業況判断DIは、卸売業、小売業、運輸・サービス業は1~3ポイント改善、建設業、不動産業は4~6ポイント悪化するとみている。改善を見込む小売業は、インバウンド客の取り込みなど前向きな要素もあるなか、原材料高に伴う仕入れ先の見直しや同業者との価格競争への対応がカギとなりそう。
さらに、「中小企業における災害等への対応について」をテーマに特別調査を実施。「自社の現在の災害への備えについてどのように評価しているか」との問いに、「できている」とした回答割合は49.9%、「できていない」の回答割合が50.1%と、ほぼ均衡した。また「実際に災害にあった際に、自社のそれまでの備えについてどう感じたか」の問いに対しては、「できていた」が32.7%と、「備えができている」の49.9%に対して、やや少ない傾向となった。
同金庫の三宅理事長は「今回の調査では、直近2~3年のデータと比較したときに、景気が良いと答えた企業の数が非常に高く出たことが最大の特徴であると感じている」とコメント。「個人個人の実感としてはまだあまり感じられないかもしれないが、長期的に見たときには、好循環の経済成長に戻りつつあると考えられる」と締めくくった。
(取材・文=洲崎春花)