令和7(2025)年5月25日に催行される「楠公武者行列」に使用する甲冑・武具や刀剣、装束などの虫干し作業が、湊川神社(神戸市中央区)で行われている。約5000点のよろいや装束を、神職・職員総出で点検・修理する。
楠公武者行列は南北朝時代の武将楠木正成公を偲び、二基のみこしを騎馬武者が先導する。楠木正成公をはじめ、当時の人物の装束をまとった人たちが壮大な行列を成す一大歴史絵巻で、次回は、湊川神社を出発したのち、新開地やハーバーランドなど全長約5キロの距離を、約400人の参加者が巡る予定だ。
近年は、同神社の氏子を中心に地域の人々や企業の協力によって約5年間隔で行われてきた。コロナ禍の影響を受けて延期となり、来年7年ぶりに実施されることとなった。
今回の虫干し作業では、よろいやかぶと約600点、装束類約4400点の計約5000点をすべて境内の蔵から出して広間に並べたうえ、一点一点、破れやほつれ、染み、虫喰いなどの有無を点検、修繕している。
15日まで実施されていた一般公開では、県内外から集まった歴史ファンが興味深げに作業を見守り、神職の説明に聞き入っていた。同神社で行われている子ども向けの学習イベント「寺子屋楠公さん」のメンバーで、この日訪れた女性メンバーは、「日本の文化や伝統を護り続けているこの行事はご苦労もあると思うが素晴らしいものであるので大事にしていきたい」と語った。
湊川神社広報室長鈴木智子さんによると、行列の見所は三区分に分かれた隊列。 よろい・かぶとや装束は現在では再現が難しいほどの高い技巧でつくられたものもあり、往時をしのばせると話した。