歴史遺産やその跡地が多くある兵庫県の西播磨地域(相生市、たつの市、赤穂市、宍粟市、太子町、上郡町、佐用町)では、それらの魅力をよみがえらせようという活動が行われています。具体的な取り組みと展望について、担当者に聞きました。
兵庫・西播磨でいま、注目されている歴史的遺産が、「山城」(やまじろ)です。
鎌倉時代から室町時代に前後する南北朝時代から戦国時代にかけて、険しい山野を巧みに使って造られた城の一種であり、戦う目的で建造された軍事施設としての側面を持つ山城には、乱世に生きた武将たちの生き様が今も感じられます。江戸幕府の「一国一城令」により、多くは廃城しましたが、石垣などの基本的な構造は今も残されています。
山城は、兵庫五国の一つである「播磨」(兵庫県の西部で、中国山地より南側に位置し、瀬戸内海に面するエリア)に250ほどあると言われています。なかでも、西播磨には、半分強にあたる130以上の山城が存在するそうです。
そんな西播磨の山城の歴史や魅力を感じてもらおうと、「西播磨の山城」をPRし体験する活動が行われています。その取り組みの一つが、山城ガイドツアー。ガイドの解説でそれぞれの山城の歴史の追体験を楽しむことができ、山城ファンの人気を集めています(要申込)。また、スマートフォンのARアプリ(「西播磨の山城へGO」)によって、かつての山城の姿が3DCGで再現されるサービスも開発し、臨場感ある山城巡りを可能にしています。
一方、近代の歴史遺産では、兵庫県中西部の宍粟市波賀町にある森林鉄道を復活させる取り組みも進められています。
波賀町の森林鉄道「波賀森林鉄道」は、大正時代に整備され、森林を切り出すための鉄道として40年ほど利用されていたもの。これを復活させるプロジェクトが、2016年から地元住民で作る地域づくり団体「波賀元気づくりネットワーク協議会」が主になって立ち上げられています。