夏から秋へと移ろう、この季節に旬を迎える果物の一つが「梨」です。とくに、和梨の代表品種である「二十世紀梨」は間もなく出荷がピークに。そこで、日本一の生産地である鳥取県の担当者に、その長い歴史やおいしいものの見分け方、保存のコツ、今年の出来などについて聞きました。
鳥取県関西本部のサージャント聖也さんによると、二十世紀梨の発祥は千葉県の松戸市。明治時代に松戸覚之助氏がごみ溜めの中から苗木を見つけ、育てたのが最初でした。
その後、鳥取県に苗木が持ち込まれたのが1904(明治37)年のこと。やがて苗木は同県全体に拡散され、1954(昭和29)年には二十世紀梨の花が県花に定められるまでになりました。鳥取県に取り入れられて今年で120年。今では卸売数量全国シェアの70%以上を鳥取県産が占めています(※1)。
じつは「二十世紀梨」という名が付いたのは、鳥取県に導入された年でした。“新大白”と呼ばれていたものを、「二十世紀の王者になる」との願いを込めて改称したのだそうです。
シャリっとした食感と、豊富な果汁、甘み・酸味のバランスが魅力とされる二十世紀梨。全体の約89%が水分のため「食べるスポーツドリンクと呼ばれていて、二日酔いにもオススメ」とサージャントさんは話します。
◆おいしいものの見分け方
二十世紀梨はたいてい食べごろの状態で出荷されるそう。特においしいものを見分けるキーワードは「トラ(虎)」とサージャントさん。緑色の果皮に黄色い模様がまだらに見える状態=「トラ熟れ」が見極めの目安なのだそうです。
◆保管方法
気になるのは、常温・冷蔵どちらが適しているのか。サージャントさんによると「どちらでもかまいません。一番良くないのは『温度の変化』。冷蔵庫からの出し入れを繰り返すのは避けてください」とのことでした。基本的には常温で保管。食べる2~3時間前に冷蔵庫で冷やすのが、おいしさを際立たせるポイントのようです。
全国各地への出荷が始まった二十世紀梨。今年の出来についてサージャントさんは、「水不足などが心配されましたが、4~6月の天候が良かったので玉太りし、例年通りの上々」と話します。鳥取県内の直売所でもすこぶる人気だそうで「朝8時半に開店のところに5時半頃から人が並び、販売開始から30分で売り切れたこともある」(サージャントさん)と紹介しました。