海外からの観光客が増加している影響もあり、都市部や観光地の飲食店では、多用な食生活スタイルに沿う商品を目にする機会が増えました。「ベジタリアン」「ヴィーガン」といった言葉を耳にすることも多く、最近では「ジェイン」などさらに新しいカテゴリーも出てきているようです。
それぞれどういった違いがあるのでしょうか? さまざまな食生活スタイルに合わせたメニューを提供するブリトー専門店『クレイジーブリトー』(兵庫県神戸市)のオーナー・畑菜津美さんに聞きました。
畑さんが手がける「ブリトー」とは、小麦粉で作られた薄焼きのトルティーヤ生地に、肉や野菜、豆、ビーフソースなどを重ねて包み、筒状に巻いたボリュームたっぷりなメキシコ料理のこと。アメリカでは、毎週火曜日に、店でトルティーヤを用いたメキシコ料理を提供したり、メキシコ料理のタコスを食べたりする“タコチューズデー”という習慣があるほどメジャーな食べ物です。畑さんは、様々な食生活スタイルに合わせたブリトーを扱っているといいます。
食生活スタイルの中でも「ベジタリアン」「ヴィーガン」は同じように捉えられがちですが、どう違うのでしょうか?
「『ベジタリアン』は、お肉や魚を食べない食事スタイルで、『ヴィーガン』は、さらに動物由来の卵や乳製品、はちみつも食べません」と畑さんは説明します。
さらに畑さんの口からは「ジェイン」など、耳なじみの薄い他の言葉も飛び出しました。
「『ジェイン』はベジタリアンとよく似ていますが、土の中で育つ野菜も食べません。じゃがいもやにんじんなど、人の力が加わって収穫されるものはナチュラルではないという考えからです。他にも『ペスカタリアン』という、ベジタリアンだけどお魚は食べるという食生活のスタイルもあります」(畑さん)
こうした食生活の多様性を受けて、動物由来の素材を植物由来のもので代替した商品も存在します。同店でも、例えばメインの味付けになるビーフソースは、肉の代わりにソイミートを、牛乳からできたチーズの代わりに豆乳で作ったチーズを使用しています。自家製ビーンズに至っては、ジェインの人向けにニンニクなしで作っているそうです。
今後日本でも、食生活の多様化に合わせた店やメニューがさらに増えていくのかもしれません。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip水曜日』2024年9月4日放送回より