高齢化が進行した日本では「人生100年時代」とも言われます。シニア世代には、暮らしにまつわるさまざまな悩みを抱える人も多くいます。そこで、充実したセカンドライフを迎えるために大切なポイントを専門家に聞きました。
シニア世代一人ひとりの悩みの解消に取り組んでいるのが、専門家である“シニアライフカウンセラー”です。めーぷる神戸三宮店代表の脇田和子さんも、シニアカウンセラーとして数々のお悩みと向き合っている一人。「本当に色々な相談が寄せられます」と話します。
「例えば、お買い物の代行や財産管理など日常生活の支援。また、適した老人ホーム選び、介護リフォームといった住まいの問題、もめない相続のための遺言書作成、老後の資金、生前葬など、相談は多岐にわたります」(脇田さん)
相続については「まずは、財産を誰に遺すのか、自宅は誰に引き継いでほしいのかなど、ご自身がどうしたいかの意志をはっきりしてほしい」といい、認知症前の対策の必要性を説きました。
「認知症になると一切の契約行為ができないので、家は売れない、定期預金は解約できない状況になります。定期預金は解約のうえ普通預金に移し、ご家族が必要な時にお金を引き出せるようにしておくことが大切です」(脇田さん)
さらに現代では“おひとりさま”問題も横たわります。脇田さんは「身元保証や亡くなった後の手続きを誰に頼むのかも決めておいていただきたい」とした上で、シニアライフカウンセラーはそういった相談にも応じていると話しました。
どこから手を着けたら良いのかわからないというシニアには「難しく考えなくてもいいんです」と脇田さん。してほしいのは、次の3つのことだといいます。
(1)自分の想い、大切にしたいことを振り返って確認する。
(2)自分や家族が近々直面するかもしれない、ある程度事前にわかる困りごとを挙げる。
(3)一定の年齢を定めて、お金の収支を計算(シミュレーション)しておく。
脇田さんの施設では、これらを潤滑に進めるためのノートを用意しているそう。エンディングノートの前段階となるもので、敬老の日である今月16日には、このノートを使ったワークショップ(要資料代)が予定されているほか、14日には、“100年人生”の入門編となるセミナーも開催されるとのことです。
じつは脇田さんは元建築士。多くのシニア向けリフォームを手掛けてきたキャリアがある中で、職を転じ、現在の施設をオープンさせたいきさつをこう語りました。
「家だけがきれいになっても、お金や相続といった他の問題や、残念ながら高齢者を狙った詐欺事件などもあります。信頼できる専門家をそばに置いていただくことが、これからの時代に必要だと思いました」(脇田さん)
多様な分野の専門家がいるシニアライフカウンセラー。脇田さんは「お困りごとに合わせた解決策をご提案します。子どもたちに迷惑をかけないための準備をして、その後、セカンドライフを楽しんでいただきたいです」と呼びかけました。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年9月5日放送回より