日本を代表する彫刻家・小清水漸の作品を一堂に 「自分の感性を表現」 宝塚市立文化芸術センター | ラジトピ ラジオ関西トピックス

日本を代表する彫刻家・小清水漸の作品を一堂に 「自分の感性を表現」 宝塚市立文化芸術センター

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 木彫のレリーフ作品も。かつて小清水は「絵画でも立体彫刻でもないレリーフというどっちつかずの世界はすごく魅力があるのは確か」と語っており、「レリーフの表面はテーブルの天板の広がりにつながる」として、削ったり、素材の異なるものを埋め込んだりと様々な試みが作品の中で展開されている。描いている線が影に見えたり、また逆に針金が描かれた線の影に見えたりすることも。

『Relief, Line ーsurf』2015年
『Relief, Line ーsurf』2015年
『結紐文大皿レリーフ』1998年 
『結紐文大皿レリーフ』1998年  陶器皿に描かれた模様が全体にも描かれている

 企画展のタイトル「雲のひまの舟」の、「ひま」は隙間を指す。春先に雪解けが進んで所々で地肌が現れた隙間を表す俳句の季語「雪のひま」から取ったという。また「舟」について小清水氏は「私は宇和島(愛媛県)の生まれで、小さいころから海と舟は身近にあった。舟に乗ったらどこか知らない所に行けるという夢のような思いがあった。舟の形には人の夢をのせてどこかへ行ってくれるという感じがある」と話す。

 屋上庭園では最新作のインスタレーション『武庫の水 空へ』が展示されている。色とりどりのガラス玉には水が入っており、光の当たり方や強弱によってその表情は変わる。鉄製の「舟」もあり、「ちょうど人1人が乗れるくらいの大きさで、人の気持ちをのせてくれる」ことをイメージしたという。

『武庫の水 空へ』2024年
『武庫の水 空へ』2024年

 小清水は、「作品を誰に見てもらいたいか、思い浮かべながら作品を作っている。時には特定の誰かを思い描くこともあるが、漠然とその誰かを自分の中で思い描いている。自分で言うのもおかしいけど、見てもらいたい人をイメージしていると、どの作品も攻撃的ではなく柔らかい表現になっているような気がする」と話す。そして「日本人として日本文化の中で育ってきて、自然に身についている感性を素直に外に出すという気持ちで作品を作っている。見ている人も自分の感性と響きあうところがあるかなぁと思いながら見ていただくと嬉しい」と続けた。

 小清水はこの企画展の後に傘寿を迎える。誕生日は「搬出作業が終わった頃かな?」。

小清水漸さん
小清水漸さん

■Made in Takarazuka vol.5
「小清水漸の彫刻 1969~2024・雲のひまの舟」
会期 2024年9月14日(土)~10月15日(火)
会場 宝塚市立文化芸術センター 2階メインギャラリー・屋上庭園
(宝塚市武庫川町7-64)
休館日 水曜日
開館時間
 メインギャラリー 10:00~18:00(入館は17:30まで)
 屋上庭園 10:00~18:00(庭園エリアは入場無料)

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