明石駅から南へ歩いて約5分、兵庫県明石市桜町、銀座通りの一角に、1875(明治8)年創業の老舗和菓子店「明植堂」があります。タコで有名な明石のまちで、タコにまつわる和菓子を生み出すなど、創意工夫を重ねながら歴史をつむぐ同店について、有限会社明植堂の代表取締役社長、植田善仁さんに話を聞きました。
来年で創業150年という長い歴史の中、戦争や火災などいろいろな出来事を乗り越え、昔ながらの製法を脈々と受け継いできた、明植堂。
同店のモットーは、植田さんいわく、「いつでもおいしい品を味わっていただけるよう真心をお伝えする」こと。タコの見た目の最中のなかに求肥(ぎゅうひ)が入った看板商品「子もちたこ最中」をはじめ、明石ならではの商品をそろえるなど、こだわりの創作和菓子、創作洋菓子を製造・販売しています。
最近では、明石がゆかりの地でもある『源氏物語』にまつわる和菓子も人気。2008(平成20)年の『源氏物語』成立千年を記念して生まれた和菓子詰合せ「あかし源氏物語」には、光源氏や紫式部といった登場人物が名付けられた焼菓子などが並びます。
一方、常に新しいものを探求しているという明植堂では、新商品も積極的に開発・販売。その1つ、「あんぱん饅頭」は、手のひらサイズで饅頭のような見た目でありながら、食べてみるとしっとりした生地に、商品名にもある通りあんぱんのような味わいで、同店の自家製餡(あん)を楽しむことができます。
伝統の味も守りながら、新たな商品も開発し続けるその姿勢に、長年愛され続けられる理由を感じ取ることができました。
(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2024年9月29日放送回より
【明植堂 HP】