パワーハラスメントなどの疑惑を告発した文書問題で、斎藤元彦・前知事の失職に伴い行われる兵庫県知事選挙に、前尼崎市長の稲村和美氏(51)が8日、立候補を正式に表明した。
稲村氏は奈良市出身。神戸大学在学中に起きた阪神・淡路大震災で、ボランティアとして避難所運営に携わった。
卒業後、証券会社勤務を経て、2003年から2期7年、兵庫県議会議員を務めた。
2010年に38歳で尼崎市長選挙に無所属で立候補し初当選した。
当時、女性市長としては全国最年少で、任期中は財政改革や子育て支援、暴力団排除などの政策を行った。
稲村氏が立候補を決意したのは、県議会で不信任決議を受けた斎藤前知事が失職と出直し選挙出馬を表明した9月26日。
半年に及んだ告発文書問題、現在百条委員会や第三者委員会の真っ只中。「議会や県民との信頼関係が崩れている。かつてない危機だ」。
阪神・淡路大震災から30年を目前に、歯がゆい思いだったという。
周囲からの声に押され、「このままじゃだめだ。県民不在になっている。簡単な挑戦ではないが、今こそ風通しの良い県政、信頼される、連携できる県政にしなければ」。気持ちは固かった。