特定抗争指定暴力団「六代目山口組」の中核組織「弘道会」の神戸市内にある施設前で2019年、弘道会系組員が銃撃された事件で、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた「山健組」組長・中田浩司被告(65)の裁判員裁判・第4回公判が15日、神戸地裁で開かれ、検察側は懲役20年を求刑した。
中田被告は「全て間違っている。私は犯人ではない」と起訴内容を全面的に否認している。判決は10月31日。
山健組は、2015年8月の山口組分裂で結成された特定抗争指定暴力団「神戸山口組」の中核団体だったが、2021年、組長ら一部が六代目山口組に復帰した経緯がある。
中田被告は2019年8月21日午後6時すぎ、神戸市中央区の弘道会関連施設前で、軽乗用車の運転席にいた弘道会系組員(当時50代)に向かって拳銃で実弾6発を発砲、このうち5発を腹や肩に命中させ、殺害しようとしたとされる。組員は全治6か月の重傷を負った。
検察側は論告で、犯行後にバイクで逃走する姿を映した防犯カメラの映像などから、中田被告を実行役であるとした。
そして、この5か月前の2019年4月18日、神戸市中央区の商店街の路上で、弘道会系組員2人が、山健組・若頭(当時60代)の背中や尻を包丁で刺した殺人未遂事件があり、その報復だったとして、暴力団特有の抗争事件という構図だと指摘した。
このほか、6千件もの画像を鑑定した専門家も、中田被告の特徴が一致するとして「8割方一致する」と指摘したことも裏付けの1つに挙げた。
これに先立つ10月11日、第3回公判で行われた被告人質問で、最初に弁護士からどう対応するかを問われた中田被告は「すべて黙秘権を行使します」ど述べ、検察官、裁判員、裁判官の計20件の質問に一切応じなかった。
「事件当日の行動・服装」「(中田被告が犯人でなければ)具体的に犯人として思い当たる人物は」「(検察側が証拠として提出した)防犯カメラの映像に映っているのは誰か」「右利きか左利きか」など質問は相次いだ。