龍九子は『方氏墨譜』にも登場する意匠です。宮本屋窯作品には、主文様としても、周囲の従文様としてもよく見られます。本来は9頭ですが数頭を切り取って表現しています。
『獅子人物図四方香炉(ししじんぶつずよほうこうろ)』(19世紀)は、八郎墨譜に描かれた図案と器形・文様が一致する貴重な作品です。高さ6センチほどの香炉ですが、文様がとても細かく描かれています。
本展ではパネルや映像で、『方氏墨譜』、『八郎墨譜』に描かれた意匠と接点を持つ宮本屋窯作品も紹介しています。ぜひ宮本屋窯の独自のデザイン性による豊かな表現世界をお楽しみください。
またこの時期、丹波篠山は、栗や黒豆などの秋の味覚も豊富です。11月には山々も美しい赤に色付き始めます。展覧会の後に、美術館周辺の豊かな自然や窯元を散策するのもおすすめです。
(兵庫陶芸美術館学芸員・村上ふみ)
◆「九谷赤絵の極致―宮本屋窯と飯田屋八郎右衛門の世界―」
会場 兵庫陶芸美術館(兵庫県丹波篠山市今田町上立杭4)
会期 2024年11月24日(日)まで
開館時間 10:00~17:00(入館は閉館時間の30分前まで)
休館 月曜日(祝日の場合は翌平日)
観覧料 一般1,200円、大学生900円、高校生以下無料
電話 079-597-3961(代表)、FAX 079-597-3967