淡口(うすくち)しょうゆ発祥の地として知られる兵庫県たつの市は、醸造・発酵文化の根付いた街でもあります。
「醸造」とは、発酵という、微生物の働きで有機物が分解され特定の物質を生成する現象を用いて、アルコールや食品を製造する技術のこと。日本の食文化には、しょうゆに加え日本酒、味噌、納豆など、発酵技術を生かしたものが数多く存在し、健康につながるメリットをもたらすとされています。
腸への好影響も、発酵食品の効果とされる一つ。たつの市龍野町には“腸活”と“発酵食品”をテーマにした、その名も「腸活発酵ランチ」を提供している店があります。
1915(大正4)年に建設されたしょうゆ蔵を龍野醤油同業組合(現:龍野醤油協同組合)がリノベーションし、2017年10月にオープンした「クラテラスたつの」。地産地消をコンセプトに、“淡口しょうゆ発祥の地”“醸造・発酵文化の根付いた街”という、地域の特色を生かしたメニューを提供しています。
同店の代表で管理栄養士の水口麻衣子さんによると、腸活発酵ランチが誕生する前は、ランチでは総菜ビュッフェを展開していました。ところがコロナ禍以降ビュッフェスタイルが難しくなり、新たに、何か特色を持ったランチプレートを作ろうと考えたのだといいます。
「腸活発酵ランチ」(税込1815円)は水口さんが監修しています。できるだけ農薬を使用していない地元農家の野菜をふんだんに使用。たつのの地の特色を映す“発酵食”をテーマに作られたおかずは、6~7種類がひと皿に所狭しと盛り付けられます。このメインメニューは2~3週間ごとに変更され、ずらりと並ぶおかずは野菜の旬に沿って変わります。
あえて肉や魚を使わないことにもこだわっているといいます。野菜のみでは不足しがちなたんぱく質は、兵庫・赤穂のにがりを使用した手作りのおぼろ豆腐や、卵かけご飯などで補足。栄養バランスの整ったメニューに仕上げられています。「飽食の時代と言われる中、この店へ来たときには、普段不足しがちなお野菜もたっぷり食べていただきたい」と水口さんは話します。