2018(平成30)年7月の西日本豪雨で被害を受けた兵庫県神戸市内のゴルフ練習場が、災害やコロナ禍を乗り越えて独自の道を探りつつ、時代のニーズに合った施設に生まれ変わろうとしている。
1968年にゴルフ練習場として開業した「菊水ゴルフクラブ」(神戸市兵庫区)。4年後に60周年を迎える老舗で、観光地・神戸ハーバーランド最寄りのJR神戸駅から車で10分ほどの烏原(からすはら)にある。都心部にほど近い立地ながらも四季折々の自然の移ろいを感じられる環境が特徴だ。
以前はショートコースを併設していたが、西日本豪雨による崖崩れや地滑りなどの被害を受けて閉鎖した。その後のコロナ禍も経て、「ショートコースを復活してほしいという声も多々あったんですけれども、残念ながら難しいと判断しました」と話すのは、株式会社菊水ゴルフクラブの代表取締役社長、押領司 隆(おうりょうじ りゅう) さん。ショートコースを失った同クラブの決断は、ゴルフ練習場に特化した経営だった。
まずは、9番ホールだった場所を天然芝から打てるアプローチ練習場とし、より実践的な練習場の色合いを持たせた。
その後、他エリアの活用が課題になっていたが、レストランや乗馬クラブへの”場所貸し”で20年以上の実績があることから、同様の例をさらに進展させていく考えに。市街地から近い地の利を生かし、土地を貸す形でエリア内に様々な業態を取り入れてきた。
最初に、犬の障害物競技“アジリティ”のトレーニングスクールの誘致に成功。去年には、サッカーとゴルフが融合したスポーツ“フットゴルフ”を楽しめる施設もできた。