特定抗争指定暴力団「六代目山口組」の中核組織「弘道会」の神戸市内にある施設前で2019年、弘道会系組員が銃撃され、殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われた「山健組」組長・中田浩司被告(65)に対し、無罪を言い渡した10月31日の神戸地裁の判決を不服として、神戸地検は12日、大阪高裁へ控訴した。
中田被告は全面的に否認、「全て間違っている。私は犯人ではない」と主張していた。
事件をめぐっては、凶器や指紋など犯行に直接結びつく証拠がなく、裁判の争点は被告が犯人かどうか(犯人性の有無)だった。
検察側の求刑は懲役20年。論告で、防犯カメラの人物と、当日の被告の服装が一致していたなどと指摘し「全ての証拠を総合的にみると犯人だと合理的に推認できる」と主張していた。
しかし判決では、防犯カメラの人物と被告は同じブランドの服を着ていたが「流通量が多く、被告本人とは断定できない」などとして検察側の主張を退けた。
一方、中田被告の弁護人は、「控訴審でも必要な弁護活動を行っていきたい」とコメントした。
山健組をめぐっては、2015年8月の山口組分裂で結成された特定抗争指定暴力団「神戸山口組」の中核団体だったが、のちに組長ら一部が六代目山口組に復帰した経緯がある。
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中田被告は2019年8月21日午後6時すぎ、神戸市中央区の弘道会関連施設前で、軽乗用車の運転席にいた弘道会系組員(50代)に向かって拳銃で実弾6発を発砲、このうち5発を腹や肩に命中させ、殺害しようとしたとされる。組員は全治6か月の重傷を負った。