今年(2024年)9月、首都キーウ近くに住む協会のアドバイザー、アンドリー・ブチネフさんから、14歳の長女・ヴェダナさんが「私たちは明日、爆撃を受けて死ぬかもしれない。そんな中、一生懸命に勉強しても意味がない」とつぶやいたという話を聞いた。
小野さんは「このままではいけない。将来ある子どもたちの夢や希望が失われてしまう」と心が揺さぶられた。そして10月上旬、ウクライナで戦禍におびえる子どもたちの手記を募り、ひとつの本にまとめる活動を始めた。
■戦禍と向き合うことにためらう子どもたち
しかし、ウクライナでは多くの人が避難民として国内外に逃れたり、“戦禍と向き合う”経験を書くことにためらいを隠せない子どもが多く、編さんは思うように進まなかった。
それでも小野さんはあきらめず、ウクライナ国内の知人らの協力で、5~14歳の14人分の手記を集めた。幼い子には母親が聞き取り、文字にした。
こうして、ブックレット「戦時下の子どもたち ロシアによるウクライナ全面侵攻 1000日」が11月19日に出版された。
原文と日本語訳を併記し、読みやすいスタイルにした。ブックレットという小型書籍としたのも、読みやすさを追求したからだ。
■生活の一部になってしまった軍事侵攻、「パバが帰ってこなくなるかも」