工業団地に突如現れたハイクオリティ中華料理店 運営は“ガチ理系企業” 飲食業に着手したワケとは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

工業団地に突如現れたハイクオリティ中華料理店 運営は“ガチ理系企業” 飲食業に着手したワケとは?

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 ライフサイエンス(生命科学)分野で使用されるラボ用プラスチック製品(IPS細胞・PCR検査・DNA検査などに使う実験用の器具)の開発・販売を兵庫県神戸市で行う「深江化成株式会社」。いわゆる“理系企業”と思いきや、本業とは全くかけ離れた業態も展開しているという情報をキャッチ。それは一体何なのか、取材しました。

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 同社のサイエンス業界内での注目度は高く、代表的な製品として「ピペットチップ」というものがあります。これは液体を量るピペッターという実験用具の先端にとりつけるプラスチック製の部品で、なんと国内シェア1位。また、血液などの検体を常温常圧条件下で保存・輸送するために開発されたプレート「プリザベーションプレート」は、2024年のグッドデザイン賞を獲得しています。

グッドデザインを受賞したプリザベーションプレート

 そんな“ガチ理系”な同社が、本社の2階で始めたのが意外にも飲食業。中華料理店「チャイニーズガーデンレストラン深記」です。ランチタイムには満席になるほどの盛況ぶりを見せているのだとか。なぜ飲食店を始めたのか、そのきっかけについて同社の竹田しのぶさんに話を聞きました。

「深記ができるまでは社員食堂がなく、周辺に飲食店も少ないことから社員は昼食を仕出し弁当などで済ませていたのです。ですが、当時の木村社長(現在の会長)が福利厚生の一環で開設を決めました。もともとは社食の予定だったですが『どうせつくるなら一流のものを』と、四川の有名店などで活躍した腕ききの中国人シェフを迎え本格的な海鮮中華レストランとして2017年7月にオープン。一般のお客様も利用できるようにしました。その結果、ランチタイムは満席になることがしばしば。そのため、現在では社員用の昼食はランチボックスにし、専用食堂として改装した1階事務所で食べることになっています」(竹田さん)

レストランの雰囲気

 瀬戸内の魚介類と地元でとれた新鮮野菜をふんだんに使用しており、「クオリティの高い中華料理を食べられる店」だと、近隣住民はもちろんスポーツチーム・他社企業にまで愛される存在に。

 さて、筆者が気になったのは社員のランチ内容。どんなおいしいものを食べているのでしょうか? 竹田さんによると、基本のメインおかずに副菜が付くとのこと。

「11月のメインは『麻婆茄子』『鶏胸肉の甘酢炒め』『牛バラと大根煮込み』『スペアリブガーリック炒め』などです。本格中華もあれば和食に近いアレンジもあり、副菜も四川泡菜(パオツァイ)・ホウレンソウのおひたし・オクラの和え物など、栄養バランスが考えられたものになっています。1食500円相当で、社員は食事手当として1ヶ月あたり5000円分を支払いなしで食べることができます」(竹田さん)

社員専用ランチ

 同店の支配人は過去に海鮮イタリアンの店を営んでいたこともあり、ソムリエの有資格者。ワインセラーから料理に合うものを選んで提供できるのだそう。

セラーにはこだわりのワインがずらり

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「工業団地のハイクオリティ中華料理店」と聞くと何だか不思議な感じがしていましたが、実際に話を聞くとそこには社員を思う企業のあたたかい気持ちが溢れていました。

(取材・文=迫田ヒロミ)

※ラジオ関西『Clip』2024年11月13日放送回より

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