「その中でも、特に宮西さんのお気に入りの洋服はありますか?」と尋ねると、「難しい質問ですね…」と返ってきました。
「母が服を作るというのは日常的なことで、私がレディブティック(ブティック社出版の型紙を掲載している雑誌)を見て、この生地はこの服にしてね、と好みの服を作ってもらっていたので、嫌いな服はないのです。それでも、捨ててしまった服もあるので、写真に撮った服はどれもお気に入りで、よく着ていた服です。”ときめき”だったり、”キュンキュン”という言葉があっているかもしれないですね」
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服選びは既製品から選ぶことが一般的ですが、物心ついたころから、服選びといえば、まず好きな生地を選び、好きな服を本から選んで母親に作ってもらっていたという宮西さん。「今思えば、すごく贅沢だったんですね」とコメントを添えたXのポストには、「懐かしい!ウチの田舎にも、近所に仕立てもしてくれる生地屋さんがありました」「私の母も洋裁好きでたくさん縫ってくれました」との共感する声も寄せられました。
洋裁ではなく和裁の道へ「洋裁より厳しい世界だった(笑)」
そんな洋裁好きの母のもとで育った宮西さんですが、洋裁ではなく、和裁の道に進みます。和裁とは、着物や浴衣などの和服を仕立てる裁縫で、洋裁とは仕立て方が大きく異なりますが、その違いの一つとして、型紙を使わないという点があります。
洋裁ではなく、和裁を選んだきっかけについて宮西さんに尋ねました。
「和裁の道に進んだきっかけは、母が『洋裁は服によって型を取る必要があるため大変だから、和裁をやってみたら』と口にしたことです。そこで和裁の道に入ったのですが、洋裁より厳しい世界だったと思います(笑)」
「プロになれるかどうか、という厳しさではなく、なってから食べていけるかどうか、最低賃金にすらなっていない工料についてが主なことですが、どの道も、歩いてみないとわからないので、どちらが大変かについては比べてはいけませんね」と話してくれました。
国家資格である1級和裁技能士の資格をもち、個人向けの和服の仕立てや和裁講師として活動している宮西さんですが、和裁職人の今後については危機感を覚えているとのこと。特に職人の収入源である『お仕立て代(工料)』の下げ止まりについては課題だと考えており、いち職人としてできることを模索しているそうです。
和裁職人の今後について、思いを聞いた
「若い頃は和裁の技術を高めるために必死でした。本当に自分には高度な技術があるかわからないので、東京キモノショーの職人大賞に応募したり、40歳を過ぎてから技能検定を受けたりしました。(※筆者追記:宮西さんは東京キモノショー2018で三つ星大賞を受賞、2024開催で一つ星大賞を受賞しています。)