このあいだ、とある山でハイキングをしていたところ、落ち葉が堆積している山の斜面のところで“なにか”がチラッと見えたんです。
「なんやろ?」と思い、手で落ち葉をそろ〜っと払ってみると、出てきたのは金属のような光沢感のある丸くて黒い物体でした。
立体的な二重丸になっているその物体の真ん中には、突起物が。周辺には古い歴史のあるお寺や神社があるため、「これ、もしかしたら“神獣鏡”のような歴史遺物ちゃうか!?」とロマンを感じてワクワクしていたところ、同行者が急に「危ない! 触るな!」と叫ぶんです。
その物体を写真に撮って画像検索をして出てきたのは、なんと、「地雷」。「そんなわけないやん」と思いながらも、ワクワクしていた気持ちが急に恐る恐るになって辺りを見回してみると、ところどころにこの物体があるんです。
「一体なんやこれ?」と山の関係者に尋ねてみますと、この辺りは山の斜面の土砂崩れを防ぐ補強工事「地山補強土工(じやまほきょうどこう)」を行ったそうです。
従来、斜面の崩壊対策として一般的に行われてきたのはコンクリートで斜面を固める工法。この方法は優れた強度を持つものの樹木を切る必要があるため、自然を破壊し美観を損ねるという大きな欠点があります。
そのためこの場所では、自然を損なわないように、斜面の形に合わせて細く強い網目のユニットネットを辺り一面に張り、それと補強材(ロックボルト)を支圧板に連結させて斜面の安定化を図る「ユニットネット工法」で工事を行ったとのことでした。