苦戦したポイントについて、木ノ本さんは「色合いがとても複雑なインクなので、青から緑へのコントラストの見え方や、万年筆として使いやすい色なのかについて慎重に考えました」と振り返ります。カラーの最終決定には2年かかったとのこと。
11月1日=古典の日に発売された理由は、インクの名前に関係していました。“ゆほびか”とは、源氏物語の『若紫』に明石を表現する言葉として登場し、「ゆったりとして穏やかな様子」、「奥ゆかしくて上品な様子」という意味を表します。
「人情に厚く、素敵な街の雰囲気と、海のたゆたう様子がこの言葉にぴったりだなと思いました。それらの“ゆほびか”なる様を表現しているインクということで、古語にちなんだ日に販売開始することを決定しました」(木ノ本さん)
同じ青でも、ちょっとしたことで彩度の変化を楽しむことができるこのインク。最後に、木ノ本さんは「“色”は本当に多彩で、人によって楽しみ方は様々です。『Kobe INK物語』が、手書きの楽しみの一つに取り入れていただければうれしいです」とコメントしました。
『Kobe INK物語 特別色 【ゆほびか-YUHOBIKA BLUE-】』は、ナガサワ文具センターの三宮本店や隣接の「ナガサワ ペンスタイル デン」のほか、パピオス明石店、オンラインショップなどで販売中。価格は2750円(税込み)。地元・明石在住の絵本作家たなかしんさんが描いたパッケージイラストが目印となっています。(※在庫状況は、各店舗に要問い合わせ)
(取材・文=長塚花佳)
※ラジオ関西『Clip』水曜日 「トコトン兵庫」より
(2024年12月25日放送回)