日本企業の99.7パーセントを占める中小企業が元気でなければ、日本が元気にならない。そう話すのは、中小・小規模企業を対象にコンサルティングサービスを行う、次世代経営コンサルタントの松田哲大さん(株式会社フォーバル)。そんな松田さんに、現状を打破するために何が必要なのかを聞いた。インタビュアーはフリーアナウンサーの清水健。

———僕の周りにも中小企業の社長や経営者の方がいるのですが、みんな日々、目の前のことに歯を食いしばって踏ん張りがんばっています。「何か」をすれば、経営ってガラッと良くなるものですか?
【松田さん】 いまはAIや検索でいろいろなものが得られ、“答えが見つけやすい時代”。ただ、“何が問題で何が課題なのか”ということにたどり着けない経営者が多いと感じるんです。模範解答を持っているよりも、“正しい問題用紙を持っている人が勝ちやすい時代”のように思われますので、『現状を見えるようにする』『可視化する』ことによって、課題が見つかる、つまり“問題用紙”が見えてくると思っています。
———松田さんは、どういったコンサルティングをしているのですか?
【松田さん】 我々は、経営者にとっての医者“企業ドクター”を掲げています。
———企業の良いところや悪いところを見つけるということ?
【松田さん】 特に、悪いところを見つけてあげたい。たとえば、病院に行ったとき、原因を追究せずにお薬を出すということはないですよね。経営も同じで、売り上げが伸びない原因はどこにあるのかということを探し出します。課題を発見することが、我々の役割だと思っています。
まずは、企業の三期分の決算書をいただいてその推移や内容を分析し、経営者が気づいていない問題を見つけていく。もちろん、会社の大事な書類を見せていただくので、信頼関係を築くところからはじめます。
———いまの中小企業は元気ですか? 大企業が過去最高益を更新したというニュースも見るけれど、現場の声は?
【松田さん】 毎日3〜4人の経営者と対面して話を聞いていますが、過去最高益を更新したという企業に会うことはほぼありません。逆に、物価上昇や燃料費の上昇、人件費も高まるなか、利益もひっ迫している状況が多いように感じています。
———赤字や債務超過など、これまで、どんな事例がありましたか?
【松田さん】 とある電気設備工事の会社は、ガバナンスに反することがあり、売上の半分を占めていた最大の取引先を失ってしまいました。それまでずっと黒字だった経営が、数千万円の赤字を出してしまったんです。
そこで、経費の見直しを徹底的に行いました。続けるもの・我慢して止めるもの・不要なものを整理整頓し、チェックを行っていきます。そして、既存の顧客リストに優先順位をつけて順番に回っていくのです。
今回のケースは、もともと信頼のある会社だったので、「そのような状況であれば……」と顧客が増えて、1年でV字回復し、債務超過も脱出したということがありました。
———コンサルタントとして、経営者と考えが食い違うこともあるのでは?
【松田さん】 私は、“経営者の味方”という立場を最も大切にしています。ただ、経験からの経営戦略に関してはデータなどもありますので、厳しい意見をさせていただくこともあります。