列車はしばらく方向別複々線で走ります。『布施』では奈良線が4階、大阪線は3階とホームが上下に分かれ、ここで大阪線に別れを告げます。正式にはこの分岐した『布施』から『近鉄奈良』までを【奈良線】と呼ぶようです。
そして、この奈良線ではいろんな車両に出会うことができます。神戸三宮と近鉄奈良間の快速急行として乗り入れる阪神9000系や近鉄5820系をはじめ、「ならしかトレイン」や、台北メトロのラッピングトレインの姿も。そして東花園車庫へ回送される特急車両22600系(ACE)に遭遇することがあります。また1日1往復奈良線も走る観光特急「あおによし」や、最新鋭車両の「8A系」電車については次回、奈良線後編でくわしくお伝えしたいと思っています。
『河内小阪』は大阪商業大学や大阪樟蔭女子大学の最寄り駅で、ハウス食品大阪本社や司馬遼太郎記念館も近くにあります。
『八戸ノ里』を過ぎると、左手にニトリモール東大阪店が見えてきますが、ここはかつて玉川車両工場があった場所。いま、検修車庫は大阪線の五位堂に“ご移動”されています。
『東花園』は、言わずと知れた「ラグビーの聖地」。約2万7千人が収容できる東大阪市花園ラグビー場の第1グラウンドでは、2019年にラグビーワールドカップの試合も行われました。スタジアム前の老舗和菓子店・絹屋の「花ラグ饅頭」も名物となっています。
多くの車輛を留置する東花園車庫を過ぎて、初の地上ホームとなる『瓢箪山』に到着。ここは東大阪市になる前の旧枚岡市の中心駅です。駅から北に延びる「サンロード瓢箪山」では、各店の看板の位置が地上4メートルと高くなっていることに気づきます。ここは旧国道170号の道路がそっくりアーケード商店街に変身したんです。全国でも極めて珍しいケースですが、言われてみないと気づきませんでした。