新年を迎え、すでに“書き初め”はお済みでしょうか? 書き初めと聞くと、小学生のころの冬休みの宿題で服や手を墨で真っ黒にしながら、何枚も何枚も書いたことを思い出します。
じつはいま、そんな“墨汁汚れ”のお悩みを解決する、水で書ける習字セットがじわじわと人気を博しているんです。その画期的な商品が、300年以上も続く老舗毛筆メーカーが販売する「水書きセット」。同商品を手がける株式会社あかしやの企画部・鈴木さんに詳しく話を聞きました。
――開発のきっかけは?
【鈴木さん】 2020年度に、小学校の学習指導要領が改訂されたのがきっかけです。それまで、習字は通常小学3年生から習うものでしたが、小学1・2年生の授業に“水書用筆での運筆指導”が取り入れられることになりました。そこで、学校も自宅も汚さずに手軽に筆の練習ができるようにと、改訂に向けて2018年に販売を開始しました。
――どのような仕組み?
【鈴木さん】 水書用紙は、紙の表面に特殊な加工が施されていて、水をつけた毛筆で書くと色が変わるようになっています。表面の層には細かいデコボコがあり、乾いた状態だと反射を起こして白っぽく見えますが、水をつけると、光が透過して下地の色が透けて見えるようになるという仕組みです。
水が乾くと白っぽい表面に戻るため反復使用が可能で、弊社の商品では500回以上書ける仕様になっています。
――最近、人気に火がついたとか?
【鈴木さん】 用紙自体は20年以上も前からある商品なのですが、小学校で水書が取り入れられたことをきっかけに、習字初心者向けに持つ位置が分かる筆をセットにする形で商品化しました。
昨年、その商品が何度かテレビで紹介されたことをきっかけに「こんなものあるんだ!」と世間の皆さんに知ってもらい、一時期問い合わせが殺到。まさに、“バカ売れ”状態でした(笑)。
また、ここ数年、SNSのショート動画などで筆で文字を書く動画が人気に。文字を書く機会が減ったいま、「筆文字が逆に味がある」ということで習字自体が注目されている印象もあります。