教科書にも載っている「金印」、飛鳥時代を代表する仏像、世界的人気の「風神雷神図屏風」も。今春、関西では国宝を集めた豪華な展覧会が次々と開かれる。大阪・関西万博開催を記念した特別展などで、誰もが知る“ザ・国宝”と呼ぶべき逸品をはじめ、時代やジャンルの異なる多彩な国宝や名品が多数集結。わが国の至宝をまとめて鑑賞できる、またとないチャンスだ。
現在、大規模改修中の大阪市立美術館(大阪市天王寺区)は3月1日(土)、リニューアルオープンを予定している。リニューアル記念として開かれるのが特別展「日本国宝展」(4月26日[土]~6月15日[日])。展示作品(参考作品除く)約130件すべてが国宝という華麗なラインアップで、歴史の教科書で紹介されている金印「漢委奴国王」(弥生時代)、唐招提寺の「鑑真和上坐像」(奈良時代)、尾形光琳の「燕子花図屏風」(18世紀)など、おなじみの品々も登場する。大阪ゆかりの国宝を特集した章もあり、一つ一つ時間をかけて見て回りたい。
今年、開館130周年を迎える奈良国立博物館(奈良市)で開催されるのは特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」(4月19日[土]~6月15日[日])。「奈良博誕生」「美麗なる仏の世界」などのテーマに分け、仏像や仏教・神道の美術品など約140件(うち約110件が国宝)を紹介する。同館設立のきっかけとなった「奈良博覧会」(1875[明治8]年、東大寺で初回開催)や奈良の歴史ある寺の宝物、これまで博物館で行われてきた企画のハイライト的な名品を一堂に披露。
かつて切手の図柄にもなった飛鳥時代の傑作「菩薩半跏像(伝如意輪観音)」(中宮寺)や「観音菩薩立像(百済観音)」(法隆寺)、仏師運慶の最も早い作例として知られる「大日如来坐像」(平安時代、円成寺)、左右に3本ずつ枝刃が出た形が特徴的な「七支刀」(古墳時代、石上神宮)など、多くの人が知る国宝が惜しげもなく並ぶ。展覧会名の「超 国宝」には、「とびきり優れた宝」という意味とともに、「時代を超えて先人から伝えられた祈り、文化を継承する人々の心もかけがえのない宝である」との思いが込められているという。