「野菜は最初に食べると痩せる」は間違い? “ベジファースト”の誤解と“効果的な食べ順”とは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「野菜は最初に食べると痩せる」は間違い? “ベジファースト”の誤解と“効果的な食べ順”とは

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 5年ごとに改訂が行われる厚労省の「食事摂取基準」を知っていますか? じつはこの2025年版において、食事法のひとつ「ベジファースト」の記載が削除されたことが話題となったのです。これにより、食事において「食べる順番に意味はない」とする見方も広がっていますが本当にその通りなのか専門家に聞きました。

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 先述した「ベジファースト」とは、食事の最初に野菜を食べる食事方法のことで“ダイエットに効果がある”という認識がこれまで世間に広がっていました。管理栄養士の野口知恵さんは、「ベジファーストに対する間違った理解が広まりすぎたために今回の削除に繋がった」と指摘。では、食べる順によって栄養や効果の違いはあるのでしょうか?

「最初に野菜を食べる→ダイエット効果」は拡大解釈だった

「野菜を先にとり食物繊維を先に摂取することで、後から摂取する炭水化物などによる『血糖値の上昇やコレステロール値を抑える』という効果があるというのが、本来のベジファーストでした。研究でも実証されてきた理論ですが、これが飛躍して“ダイエットに効果がある”という誤解となり知れ渡ってしまいました。このたびの食事摂取基準の改訂で『ベジファーストは無意味だった』とする声も見かけましたが、決してそうではありません」(野口さん)

 野口さんによると、単に野菜を先に食べればいい……というものでもないそう。「ベジファーストにおいて十分な効果を得るのに大事なのは、『野菜を先に食べてから10分間空け、次の食事をとる』ということです。誤認識されたベジファースト理論ではこの“10分”が省略されており、空ける時間が短いと効果が薄くなることがわかっています」と説明します。

血糖値を抑制するのに「ベジファースト」は有効

 食べる順については「自身にとって必要な栄養や効果に応じ、順番を意識することが大事」だと野口さんは言います。

「血糖値の上昇を抑えるという目的があるのであればベジファーストは有効。筋肉をつけたい場合は先にタンパク質を摂る必要がありますが、ベジファーストをしてしまうと体内でのタンパク質摂取を阻害してしまいます」(野口さん)

 多くの栄養が含まれる食品に「納豆」がありますが、これも食べる順によって違いが出てくるのだとか。

「納豆菌によってつくられる酵素のナットウキナーゼは血液をサラサラにする効果がありますが、胃酸に弱いという性質があります。ですので、胃酸の力が比較的弱まる食事の後半に食べるのがポイントです。腸内環境を整えてくれる納豆菌も胃酸に強くないため、同じく食事の後半に食べると良いでしょう。また、血糖値を気にして食物繊維を摂りたい人やタンパク質を摂りたいなら、最初に食べることをおすすめします」(野口さん)

納豆も食べる順で効率的に取れる栄養が変わってくる

 とはいえ、野口さんが強調したい一番大切なことは“無理せず食事を楽しむこと”なのだそう。「血糖値を抑制するためには、汁物→食物繊維(野菜など)→タンパク質→炭水化物(米など)の順で、食べ切ってから次を食べる……というのが理想。ですが、『そんな食事は楽しくない』と感じる人もいるでしょうし、おかずとお米は一緒に食べた方がおいしいと感じる人も。ただ、知識として覚えておくと役に立つこともあります。ごはんやおかず・野菜など食卓にバランスよく並べることを意識して、無理のない範囲で実践してみてください」と締めくくっています。

(取材・文=宮田智也)

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