なぜ!? ビールメーカーが『飲みづらいグラス』を開発 入手困難な人気ぶりの秘密に迫る | ラジトピ ラジオ関西トピックス

なぜ!? ビールメーカーが『飲みづらいグラス』を開発 入手困難な人気ぶりの秘密に迫る

LINEで送る

この記事の写真を見る(5枚)

 早いもので、2025年に入ってからすでに1か月が経過しました。忘年会・新年会シーズンも終わり、「今年も飲みすぎた……」と反省した人も少なくないのではないでしょうか。

 そんなお酒好きの悩みを解決すべく、昨年開発された“飲みづらい”グラスが話題を集めています。手がけたのは、「よなよなエール」でおなじみのクラフトビールを製造する株式会社ヤッホーブルーイング。不思議なグラスについて、開発を担当した“ごらく課”の河津さんに詳しく話を聞きました。

「ゆっくりビアグラス」(提供:ヤッホーブルーイング)

――“飲みづらい”グラスを作った理由は?

【河津さん】 お酒好き共通の「ついつい飲みすぎてしまう」という悩みを解決し、楽しく“適正飲酒”を知ってほしいというのが1番の目的です。

飲みづらさを追求するという、一見、クラフトビールのメーカーとしては逆をいくようなコンセプトでしたが、「ビールを中心としたエンターテインメント事業」を展開する弊社だからこそ、ユーモアを交えて適正飲酒を啓発していきたいと考え、「ゆっくりビアグラス」のプロジェクトがスタートしました。

――どのようにしてあの形にたどり着いた?

【河津さん】 じつは、形の候補は30以上あったんです。たとえば、重すぎて持てないという案や、センサーを搭載し取ろうとしたらグラスが逃げるというぶっとんだ案までありました(笑)。

もともと、クラフトビールはワイングラスに似た形の専用グラスで楽しまれることも多かったので、その形をいかしつつ、くびれを作って飲みづらさを再現しようとなりました。なかでもくびれの細さは、いくつも試作をして1ミリ単位で調整することで、絶妙な飲みづらさを実現しました。

「ゆっくりビアグラス」試作の様子(提供:ヤッホーブルーイング)

――仕組みについて、詳しく教えてください。

【河津さん】 先ほどお伝えした通り、ポイントになるのは「くびれ」と「ワイングラス型の飲み口」です。真ん中のくびれ部分によって流れるビールの量が制限され、飲みきるのに通常の約3倍の時間がかかる仕組みになっています。時間がかかることでビールの温度も変化していくのですが、じつは、これがおいしさに繋がってくるんです。

一般的なビールは3~4度のキンキンに冷えた状態で飲むのがおいしいとされていますが、クラフトビールは少しぬるめのほうが香りとおいしさが際立ちます。

たとえば、弊社の「よなよなエール」でいうと最もおいしく感じられる温度は13度前後です。冷たいうちに一気に飲めないからこそ、むしろクラフトビールの風味を最大限に感じることができるというわけです。

さらに、飲み口をワイングラスのように湾曲させることで、香りを閉じ込めてより強く風味を感じられるようにもしています

下半分のビールはゆっくり出てくる(提供:ヤッホーブルーイング)
LINEで送る

関連記事