激甘&ハイカロリーなドーナツを爆食? ポーランドのキリスト教徒が大切にしている「脂の木曜日」とは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

激甘&ハイカロリーなドーナツを爆食? ポーランドのキリスト教徒が大切にしている「脂の木曜日」とは

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「脂の木曜日」という祭日を知っていますか? 何やらインパクトのあるネーミングですが、一聞しただけではどんな日なのか想像できませんよね? 人口の約88%がカトリック教徒の国・ポーランドでは、この日が来ると「ある食べ物」が飛ぶように売れるそう。音楽や映画・演劇をはじめとした同国のカルチャーを発信する、ポーランド広報文化センターの頼近さんに詳しく教えてもらいました。

国民のほとんどがカトリック教徒であるポーランド(イメージ)

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「脂の木曜日」とはキリスト教における祭日のひとつ。最も重要とされる「復活祭(イースター)」の前に迎える「四旬節」と呼ばれる期間の直前の木曜日をこう呼びます。ちなみに四旬節とは「40日の期間」を意味し、イエス・キリストが40日間断食をしたことが由来しています。そこから教徒も主にならい、同じ日数で断食をするという習慣が生まれました。「四旬節に突入すると、食事における“贅沢”を控えなければなりません。その前に『お腹いっぱい食べておく』という行為から、脂の木曜日は始まったといわれています」と頼近さん。

 世界中のキリスト教徒にとって大切な日である「復活祭」までは“節食期間(四旬節)”であり、脂や肉・砂糖を控えた食事を続けます。ですので、「お腹いっぱい食べてもいい最後のタイミング」ともいえる脂の木曜日を迎えると、多くのキリスト教圏では肉を食べるそう。ですが、ポーランドに限っては少し違う文化を持ちます。それは「特定のスイーツを大量に食べる」ことなのだとか。

「おもに『ポンチキ』という揚げ菓子をたくさん食べます。簡単に言うと穴が空いていないドーナツですね。中にバラのジャムやラズベリージャム、マーマレードなどが入っているものもあり、種類はじつにさまざまです」(頼近さん)

ラードや砂糖、ジャムなどをたっぷり使った「ポンチキ」(提供=Fot. M. Cieszewski/Poland.pl)

 ポーランド人にとっては馴染みが深く日常的に食べられている菓子ですが、脂の木曜日になるとその消費量はぐっと増すのだとか。ポンチキを求めて人々は行列をなすため、「1年の中で1番多く売れる日」といわれているそうです。生地に卵や砂糖をたっぷり使いラードで揚げるため、相当ハイカロリーなポンチキ。しかしながら、ポーランドの人々にとっては質素な生活を送る四旬節に備えるための強い味方なのです。

「近年では四旬節はあまり意識されなくなっていますが、脂の木曜日の習慣は根強く残っています。多くのポーランド人は、この日にポンチキをたくさん食べるのが当たり前と思っているようです」(頼近さん)

「四旬節」を迎える前に欠かせない「ポンチキ」(提供=Fot. M. Cieszewski/Poland.pl)

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 2025年の脂の木曜日は2月27日。日本ではなかなかポンチキを食べられる場所も機会も少なそうですが、気持ちだけでも意識してみるといいかもしれません。

(取材・文=つちだ四郎)

【取材協力】ポーランド広報文化センター
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