兵庫県以西の中国・四国・九州地方にヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの観光客を呼び込む取り組み「西のゴールデンルート」の共同記者発表会がこのほど神戸市内で開かれた。神戸市の久元喜造市長や福岡市の高島宗一郎市長ら自治体首長のほか、JRや船舶会社などの関係者も出席。インバウンド旅行のモデルルートや便利な専用サイト立ち上げについて発表するとともに、開幕が迫る大阪・関西万博に向けてさらなる連携強化を確認し合った。
国の統計調査によると、2023年に訪日した欧米豪外国人の述べ宿泊者は、全体の79.3%が「ゴールデンルート」といわれる東京~大阪間の人気観光ルートに集中。大阪より西の宿泊はわずか5.8%だった。さらに2024年に来日した約600万人の欧米豪旅行客のうち9割以上が羽田空港(東京都)・成田空港(千葉県)からの入国。関空(大阪府)からの入国は7%にとどまった。
そのような状況の中で、昨年、西日本への欧米豪観光客誘致を目指した「西のゴールデンルートアライアンス(連合)」が結成された。結成を呼び掛けた高島市長が会長となり、自治体や交通事業者、旅行会社などの関係者が協力、PR活動などについて協議を重ねてきた。
発表によると、近年のインバウンドの状況として、▽東京や大阪から直接、兵庫、広島、福岡に向かう動きもある▽オーバーツーリズムを避けて地方に足を運ぶ▽鉄道パスなどの需要が高まる一方で、フェリーの情報も求められている―などの傾向があり、欧米豪旅行客が好むスポットとしては、▽自然や風景▽日本庭園▽史跡・歴史的建造物などが挙げられるという。
それらの情報を踏まえ、モデルルートを「訪日経験者」(全体の3割)と「訪日初心者」(同7割)向けの2種類に設定。2週間程度を想定した「ロングルート」では、▽新幹線を軸に関西~九州をめぐる▽九州~四国~関西まで瀬戸内海を横断など、3~4日程度の「ショートルート」は、▽フェリーで訪ねる日本情緒のある景観めぐり▽城や大名庭園などの武家文化のルーツに触れる▽酒どころや温泉地を楽しむなどのプランを紹介した。
あわせてこのたび立ち上げた、モデルルートや観光情報を掲載した専用サイトについても説明。サイトは英語で、ホテルや交通、アクティビティの予約ページにリンクしており、閲覧者自身でスムーズに旅行計画を立てられる内容になっている。